チラ裏バッファ

数学

2019-04-05 ごろにゃん・ごろにゃん・語呂合わせ

√11 ≈ 3.316 624703 (さんざん疲労、無理にしなくてオーケーさ)

√13 ≈ 3.60555 1275 (サブロー丸、ゴーゴーゴー、独り船旅ゴー)

√14 ≈ 3.741 65 738 (みんな酔い 婿 涙はらり)

√15 ≈ 3.8729 833 (サンバ、何食う? はちみつサンド)

√17 ≈ 4.123 10 562562 (善い兄さん一礼 ごろにゃん ごろにゃん)

√11 については「いじっちゃお」にも書いた。√14 の 4165 を「良い婿」としないのは 1165(いい婿)と紛れるのを防ぐため。√17 の2個目の「ごろにゃん」はホントは 5617 だが四捨五入。イメージ付け=「11といえば士。武士は疲れる」「13は反抗期で突っ走る」「14はおセンチ」「15は食い意地」「17で礼を知る」。

2019-05-05 楕円曲線 ダ・ダッ・ダー! (懐かしい日本ブレイク工業『社歌』
クラック クラック あなたの鍵の
分解 分解 因数分解
耐久年数過ぎてゆく 暗号強度が落ちてゆく
セキュアな通信 はばむやつらさ RSA!

一意分解整域 数体ふるい Da Da Da
一意分解整域 分散処理だぜ ブルート・フォース!!

鍵を壊すぜ! ハッシュ破るぜ! 署名作るぜ! アリスへボブへ
割れる! 割れる! 一意分解整域

*

一意分解整域 エラトステネス Da Da Da
一意分解整域 ピー・マイナス・ワン法 Da Da Da
一意分解整域 楕円曲線 Da Da Da
一意分解整域 特殊数体 猛威をふるえ!!

パスがばれるぜ! ハッシュ衝突! 署名偽物! アリスへボブへ
割れる! 割れる! 一意分解整域
ファク タ ライズ!!

昔の歌は熱かったらしい。「巨大な敵をうてよ、うてよ、うてよ」とか「憎いあんちくしょうの顔めがけ、たたけ!たたけ!たたけ!」とか「飛べ!!飛べ飛べガッチャマン」とか。昔シンガポールの友人が「へーっ、OPが男の声ってのもあるんだ? 今のOPって全部女じゃね?」ってびっくりしてたもん。そしたらイタリア人が「全部女でも声がいろいろあるだけ、まだいいんだよ。こっちは全アニメのOPが Cristina D'Avena だぞ」

2019-05-11 1331分の2401 日本の1升(しょう)は「縦横4.9寸、深さ2.7寸の升(ます)の容積」だという。4.9 = 72 / 10, 2.7 = 33 / 10 なので
(A) 1升 = 74 × 33 / 103 立方寸
曲尺(かねじゃく)の1寸1 / 33 m = 102 / 33 cm定義されていたので
(B) 1立方寸 = 106 / 333 cm3 = 103 / (33 × 113) リットル。
これらを組み合わせると、分子分母がすっきり約分され
(C) 1升 = 74 / 113 リットル = 2401 / 1331 リットル。
この分数のおよその値は、比較的簡単に暗算できる:
(D) 2401 / 1331 = 1 + 1070 / 1331 ≈ 1 + 1000 / 1250 = 1 + 4 / 5
つまり、1升はざっと1.8リットル。1合はその10分の1なので、約0.18リットル(=180ミリリットル)、SI単位でいえば約 180 cm3。法律上は、直接「1升 = 2401 / 1331000 m3」と定義されていた。

74 / 113 = 2401 / 1331 は簡潔な分数だが、循環小数で表すと、循環節の長さ(☆)が242。こんな日常的なところに、巨大整数的なものが潜んでいたとは…!

(☆)ボーナス・クイズ2 この循環節の長さを求めるコードを JavaScript 3行以内で書け。(解答例はこのコーナーの末尾に)

1合 = 1.
8039068369 6468820435 7625845229 1510142749 8121712997
7460555972 9526671675 4320060105 1840721262 2088655146
5063861758 0766341096 9196093163 0353117956 4237415477
0848985725 0187828700 2253944402 7047332832 4567993989
4815927873 7791134485 3493613824 1923365890 3080390683
69... デシリットル

上記割り算は、ブラウザ上でも実行可能(要JavaScript)。この下に結果を表示:

(☆)「ボーナス・クイズ2」の解答例(JavaScript ソース)

原始的な方法として、JavaScript 1.6 がサポートされているなら:

var r = 2401, m = 1331, a = [], d = 0;
while( a.indexOf( r = r * 10 % m ) < 0 ) a[ d++ ] = r;
alert( "循環節の長さ: " + d );

上記では「筆算方式の割り算の各ステップで生じる余り」を全部記録しておき「既出の余りがまた出たら、次の桁からは既出パターンの繰り返し」と判断している。小数第 d 位を求めたときの余りを配列 a の第 d 要素に格納(第 0 要素は、整数部分を求めたときの余り)。この計算では必要ないが、最後の d(d - a.indexOf(r)) に置き換えれば、混循環小数にも対応できる。r / m が整数または有限小数になる場合、循環節の長さが 1 と報告されるが、そのケースでは 0 と報告させたければ:

alert( "循環節の長さ: " + ( r ? d - a.indexOf( r ) : 0 ) );

依然原始的だが少しましな方法として、別の配列 b を考え、小数第 d 位を求めたときの余りが r なら b[r]d を書き込む、という手もある。「書き込もうとしている場所が既に書き込み済みなら、既出の余りが再出現」と分かる。この方法なら JavaScript 1.6 も不要。JavaScript 1.6(ほぼ全ての環境でサポートされている)を避けること自体に実用上大きなメリットはないが、非効率な Array.prototype.indexOf() を使わないで済むなら、それに越したことはない。

var r = 2401, m = 1331, b = [], d = 0;
while( b[ r = r * 10 % m ] === void 0 ) b[ r ] = d++;
alert( "循環節の長さ: " + ( r ? d - b[ r ] : 0 ) );

2401 / 1331 の小数部分は純循環小数。従って、実際には全部の余りを配列として記憶する必要はなく、最初の余り 2401 % 1331 = 1070 だけ覚えておいて、どこかで 1070 が再出現したら「最初に戻った」と判断できる:

var m = 1331, r0 = 2401 % m, r = r0, d = 0;
do { ++d; r = r * 10 % m; } while( r !== r0 );
alert( "循環節の長さ: " + d );

クリックで実行(要JavaScript)

以上の方法はどれも「実際に循環するまで、筆算方式で 2401 / 1331 を延々と割ってみる」というもの。数論的に考えれば、もっと良いアプローチが存在する。

2019-05-13 1331分の2401(その2) 1合は 74 / 113 = 2401 / 1331 デシリットル。10進小数では、循環節の長さ 242 の循環小数。実際に割り算をしないで、循環節の長さを直接求めたい。

それには 10k ≡ 1 (mod 1331) を満たす最小の自然数 k を求めればいい。そのような k について、10k 進数で 1 / 1331 を小数展開すると、小数第1位は「1 × 10k / 1331 の整数商」で余りは 1 なのだから、小数第2位以下も同じことの繰り返し。すなわち、10k 進数では循環節の長さが 1。従って、10進小数では、循環節の長さが k になる。分子が 1 以外の場合も、分母と互いに素である限りにおいて、循環節の長さは同じ。

法が素数 p なら、フェルマーの小定理により k = p − 110k ≡ 1 (mod p) の一つの解であり、従って循環節の長さは p − 1 の約数のどれか。合成数の法 m = 1331 = 113 に小定理を適用することはできないが、その拡張バージョン 10φ(m) ≡ 1 (mod m) が成立。つまり、求めたい長さは φ(113) = 112(11 − 1) = 2⋅5⋅112 = 1210 の約数で、1210 の約数は 12 個しかないので、候補も 12 個に絞られる。べき剰余は高速に計算できるので、これだけでも、十分効率的に答えを得ることができる。

のみならず、自然数 s について、1 / ps の循環節の長さは、1 / p の循環節の長さの ps − 1 倍であることが多い。上記の例でいえば、1 / 11 = 0.090909… の循環節の長さ 2112 倍が最有力候補。従って、まず k = 24210k ≡ 1 (mod 1331) を満たすか確認し、満たすなら「これより小さい 1210 の約数は、この合同式を満たさない」ことを確認すればいい。

2019-05-16 1331分の2401(その3) 「お米の1合って、メートル法では(厳密には)どう定義されるのだろう」という素朴な疑問から、脱線して「74 / 113 を10進展開した循環小数の循環周期を効率的に求めるには、どうすればいいのだろう」というアルゴリズムの話になった。

2401 / 1331 の循環節の長さを求めることは、10k ≡ 1 (mod 1331) を満たす最小の自然数 k(以下ではそれを λ と呼ぶ)を求めること。オイラーの定理によれば λφ(1331) = 2⋅5⋅112 の約数。素朴に考えても候補は 12 個に絞られるが、12 種類の候補を片っ端からチェックするのは優美でないので、もう少し考えてみたい。

λ は素因数 21 個だけ含むか、または 1 個も含まない。もし後者なら k = φ(1331)/2 = 5⋅112 が上記の合同式を満たすはずだが、これは直接計算により否定される。

同様に、λ は素因数 51 個だけ含むか、または 1 個も含まない。もし後者なら k = φ(1331)/5 = 2⋅112 が上記の合同式を満たすはずだが、これは直接計算により肯定される。

最後に、λ は素因数 11 をちょうど 2 個含むか、または 1 個以下しか含まない。もし後者なら k = φ(1331)/11 = 2⋅5⋅11 が上記の合同式を満たすはずだが、これは直接計算により否定される。

以上によれば、べき剰余の計算3回で λ = 2⋅112 = 242 が確定する。直接延々と割り算するより、はるかに良い。

しかし、この方法は最速だろうか? 「1 / ps の循環節の長さは、1 / p の循環節の長さの ps − 1 倍であることが多い」という点をもう少し突き詰めるべきだろう。1 / 11 の循環節の長さが 2 であることは見え見えなので(なぜなら 9911 で割り切れる)、「~であることが多い」という観察をきちんと定式化して、その例外に該当しないことを示せば、べき剰余の計算を0回まで減らせる可能性がある。実際、一瞬にして λ = 2⋅112 = 242 と暗算できる。

2019-06-13 33は3立方数の和 x3 + y3 + z3 = 33 の整数解が、2月ごろ発見された。

Andrew R. Booker: Cracking the problem with 33

解は x = 8866128975287528, y = −8778405442862239, z = −2736111468807040 で、いずれも絶対値16桁(1000兆~1京の範囲)。x3 + y3 は次の47桁の数。

204載 8336正 7622澗 7971溝 5822穣 3817𥝱 9527垓 5490京 5569兆 3831億 5366万 4033

z3 の絶対値は次の47桁の数。

204載 8336正 7622澗 7971溝 5822穣 3817𥝱 9527垓 5490京 5569兆 3831億 5366万 4000

100の位より上が全部打ち消し合って、33 になる。すげえ!

ボーナス・クイズ3 q = −y = 8778405442862239 が素数であることを示せ(JavaScript 3行以内でも可能)。

2019-06-21 擬素数の逆数の循環節の長さ n > 110 と互いに素な整数とする。1/n10 進小数で表し、その循環節の長さを とする。 (I) n が素数であるか、または底 10 のフェルマー擬素数であるときに限って、n ≡ 1 (mod ) が成り立つ。 (II) 底 10 のフェルマー擬素数は、10 以上なら、全てこの合同式を満たす。

【例】 n = 91 とすると、1/n の循環節の長さ = 6n ≡ 1 (mod ) を満たす。ところが n = 91 = 7 × 13 は素数でないから、フェルマー擬素数になるはず。実際、1091 − 1 ≡ 1 (mod 91)。

【証】 10 進小数の場合、n を法として 10 の位数。n が素数なら、小定理により n − 1 の約数だから n − 1 ≡ 0 (mod ) となり (I) の合同式が成立。よく知られているように、逆は不成立。すなわち、フェルマー擬素数も同様の理由から、同じ合同式を満たす。

これだけなら大したことじゃないが、これは話の出発点…

2019-06-24 最小の強擬素数 (正の)合成数 m が与えられたとき、m − 1 = 2sd を満たす整数 s ≥ 0 と奇数 d ≥ 1 が一意的に定まる。次の条件のいずれかを満たす自然数 b を知りたい。

条件 (I)  bd ≡ 1 (mod m)

条件 (II)  e = 2rdbe ≡ −1 (mod m) を満たすような、整数 r ∈ [0, s−1] が存在

もし m が偶数なら、s = 0, d = m − 1 となり、(I) は普通の擬素数(フェルマー擬素数)と全く同じ条件、(II) は意味を持たない。従って m奇数の合成数に限ることにする。このとき、(I) または (II) を満たす数(強擬素数と呼ばれる)は必ず擬素数だが、擬素数は必ずしも強擬素数ではない。普通の擬素数の場合と同様の理由から、b ≡ ±1 (mod m) は「自明な底」。底の検索を [2, m−2] の範囲に限定することができる。

そうすると、b ≥ 2 を固定して「b を底とする最小の強擬素数」を考えることができるのはもちろんだが、底を限定せずに「ある性質を持つ最小の強擬素数」を考えることもできる。例えば、100 以下の自然数のうち、非自明な底に対して強擬素数になり得るものは 25, 49, 65, 85, 91 の5個しかない(容易に全数検索可能)。「底の検索範囲を広げたら、350桁の巨大な(非自明な)底に対して 15 も強擬素数になることが発見された!」といったことは、絶対起きない。従って、例えば「49 は、逆数(の10進展開)が循環小数になる最小の強擬素数である」という命題は(数学的な価値はさておき)論理的に正しい。

「強」ではない普通の擬素数についても同様のことが言えるが、3 のべきを除く全ての奇数の合成数は(非自明な底の)擬素数なので、あまり面白みがない。偶数の擬素数(比較的珍しい)についてなら、何か面白いことが言えるかもしれない。

2019-06-23 どの底の擬素数? (正の)合成数 m が与えられたとき、bm−1 ≡ 1 (mod m) を満たす自然数 b を知りたい。一般性を失うことなく 1 ≤ b ≤ m と仮定できる。実際、任意の整数 x について、整数 k が存在して、上記範囲の b を使って x = km + b と書ける。このとき xb (mod m) であり、2項定理から xm−1 = (km + b)m−1bm−1 (mod m)

従って「与えられた m が擬素数になるような底」をリストアップしたいとき、m より大きい底を考える必要はない。とりあえず m 回の試行で全数検索できる。さらに、合同式 bm−1 ≡ 1 (mod m)b = m ≡ 0 なら常に不成立、b = 1 なら常に成立。これらは「自明な底」である。

b = m − 1 つまり b ≡ −1 のとき、上記の合同式は m が奇数なら成立、偶数なら不成立(偶数 m = 2 に対しては成立するが、m は合成数なので 4 以上)。これも「自明な底」であり、結局、実質的に問題になるのは 2 ≤ b ≤ m − 2 の範囲の b に限られる。

【例】 合成数 m = 9 は、どのような底に対して擬素数か。これは「8 乗して 9 で割ったとき 1 余るような整数をリストアップせよ」という問題。b = 9 ≡ 0 が条件を満たさないこと、b = 1, 8 ≡ ±1 が条件を満たすことは明白。それ以外の底について、素朴に計算すると:

U = 2^8 = 256 ≡ 4
V = 3^8 = 6561 ≡ 0
W = 4^8 = 65536 ≡ 7
w = 5^8 = 390625 ≡ 7
v = 6^8 = 1679616 ≡ 0
u = 7^8 = 5764801 ≡ 4

実際には、この場合、底が偶数乗されるのだから、b > (m − 1)/2 については、m − b ≡ −b に対する結果を再利用できる(u = U, v = V, w = W)。結論として、9 は自明な底 1, 8(およびそれに 9 の倍数を足した自然数)について擬素数だが、9 が擬素数になるような非自明な底は存在しない。m が大きい場合、m − 1 乗をばか正直に計算すると計算途中の値が大きくなり過ぎるが、その点については抜け道がある。

2019-06-27 ラビン・ミラー擬素数の検索 底 2 ≤ b ≤ m − 2 の強擬素数である奇数 m を「ラビン・ミラー擬素数」と呼ぶことにする。ラビン・ミラー擬素数であるかないかだけを知りたいなら、2 ≤ b ≤ (m − 3)/2 の範囲の底を考えれば十分。なぜなら底 b のラビン・ミラー擬素数は底 m − b ≡ −b (mod m) のラビン・ミラー擬素数でもある。

実際、bd ≡ ±1 (mod m)bb に置き換えても成立。これは条件 (I) の全部と条件 (II) の一部であり、≡ −1 は、条件 (II) における r = 0 の場合に当たる。条件 (II) の残りの部分は、r ≥ 1 に対し be ≡ −1 が成立するというものだが、その場合、bb に置き換えても左辺の値は変わらない(e は偶数なので)。

【例1】 n = 121 なら d = 15b = 3 に対して bd ≡ 1 (mod n) であり、bb に置き換えれば、d は奇数なので右辺は ≡ −1。すなわち、底 b ≡ ±3 の両方に対して 121 はラビン・ミラー擬素数。

【例2】 n = 125 なら d = 31b = 57, r = 1, e = 62 に対して be ≡ −1 (mod n) であり、bb に置き換えても、e は偶数なので結果は変わらない。

2019-06-29 4187という数 The Prime Pages の「素数の珍品」(Prime Curios!)コーナーには、ちょっと前まで次の記述があった。4187 is the smallest Rabin-Miller pseudoprime with an odd reciprocal period. [Post]

「奇数の逆数周期を持つラビン・ミラー擬素数のうち、最小のものは4187」という曖昧な主張だが、「逆数周期」=「逆数を10進展開したときの循環節の長さ」、「ラビン・ミラー擬素数」=「奇数の合成数 q のうち、少なくとも一つの底 b ∈ [2, q − 2] について強擬素数となるもの」と解釈できる。

あるきっかけで、6月21日に上記の記述を目にした。「これは絶対間違ってる」という気がした。実際、全数検索によれば、上記命題には51個も反例がある! 上記の性質を持つ本当の最小のラビン・ミラー擬素数は185(底43など)、その逆数周期は奇数3。仮に逆数が純循環小数になるという制限を付けるとしても、最小は961(底229など)、その逆数周期は奇数465。

主張を正しいものにする一つの方法は「逆数周期が奇数」を「純循環かつ逆数周期が素数」に変えること。別の改訂案は「ラビン・ミラー擬素数」を「底10のラビン・ミラー擬素数」に変えること。後者は「任意の底→底10限定」なので命題が弱くなるが、この弱い形にはある種の理論的な興味がある。というのは、ある合同式を考えると「10進数としての逆数周期」は確率的な素数性テストに利用でき、そこにおいて「底10のフェルマー擬素数」は、やはり擬素数となる(2019-06-21 擬素数の逆数の循環節の長さ)。先週末、強弱両方の主張を新しいキュリオとして提案したが、何の反応もなかった。今週末、コメント送信フォームから上記の指摘を送ってみたら、今度は1時間ほどで返事があり、結局、このキュリオは「弱いバージョン」に改訂された。

*

現時点の本音としては、この弱いバージョンは、つまらない。これがキュリオ(珍品)なら、任意の底 n について、同様のもの(逆数を n 進展開した周期が奇数になる最小のラビン・ミラー擬素数)を考えることができ、それらの一つ一つがキュリオということになってしまう。「どんな底を選んでも、4187より小さいラビン・ミラー擬素数の逆数を素数周期の純循環小数にできない」という強い主張の方が、少なくとも見掛け上は面白い…。

去年まで Prime Curios! に参加すること自体、考えてもなかったけど、今年1月、思い立って「79の不思議」について初投稿(昨年末に「フェルマーのクリスマス定理で遊ばせて!」で書いたもの)。この79の性質は、本当に面白いし、数学的にも奥が深い。一意分解整域になる世界・ならない世界の分かれ目は何か…。答えがあることも、答えを与えてくれる理論の名前も分かっているが、短絡的に答えを見てしまうのも味気ない。もうちょっと山麓をさまよってみたい。

2019-07-01 汝のあるべき姿に戻れ、4187(良い花)! 更新された「素数の珍品たち」。偽から真に変わったのは良いとして、やっぱりしっくりこない…。

あるべき姿(弱いバージョン) 「4187は、逆数を小数で書いたときに循環周期が奇数になるような、10より大きい最小の擬素数(10を底とする)である」 ← この形なら、意味を説明しやすい(下記参照)。

あるべき姿(強いバージョン) 「4187は、逆数の周期が素数になるような、10と互いに素な、最小のラビン・ミラー擬素数である」 ← 今回は立ち入らない。

現在の姿(中途半端) 「4187は、底10において、逆数の周期が奇数になるような、最小のラビン・ミラー擬素数である」 ← 弱いバージョンと同値だが、無駄に難解。「ラビン・ミラー」という条件は冗長。

説明。「10n−1 乗して n で割ったら 1 余る」という性質を持つ自然数 n を考える。式で書くと:

10n−1 ≡ 1 (mod n)

n が「底の10と互いに素な素数」なら(要するに2, 5以外の素数なら)、この関係は必ず成り立つ。例えば7は素数なので、10の6乗を7で割ると1余る。13も素数なので、10の12乗を13で割ると1余る。n が素数でないときは、一般には、この関係は成り立たない。例えば21は素数でない。そして、10の20乗を21で割った余りは1にならない。

ってことは、この関係を満たすか・満たさないかで、素数か素数でないか、簡易的なテストができる。2と5を例外として、この関係を満たさない数は、素数ではない。それはいいんだけど、時々いるんだよね…合成数のくせに、テストを通ってしまう「ニセ素数」が。例えば、9は合成数なのに、10の8乗を9で割ると1余る。ニセ素数。正式には、底10の擬素数と呼ばれる。もっとも 10 ≡ 1 (mod 9) だから、10の何乗を9で割っても1余るのは自明だが…。自明な例も含めて、底10の擬素数を小さい順に列挙すると:

9, 33, 91, 99, 259, 451, 481, …

これらの数(最初の9を除く)の逆数を小数で書くと、1/33 = 0.030303… は循環の周期が2、1/91 = 0.010989 010989… は周期が6、以下順に周期が 2, 6, 10, 6 となる。「あるべき姿(弱)」の意味は「4187も同じ底10の擬素数だが、これは逆数の周期が奇数。ちょっぴり珍しいよ」。丁寧に説明すれば、誰でも理解できそう。

そんなシンプルな話なのに、なぜわざわざ「ラビン・ミラー」という難しいことを言って話を複雑化するのだろう。そもそも「ラビン・ミラー擬素数」とは何なのか。少し考えると「12以上の奇数のうち、底10の強擬素数」という意味になることが分かる。けど、この条件のうち本当に必要なのは「12以上の擬素数」だけ。「奇数」も「強」も余計。「12以上」が必要というのも、その心は、自明な擬素数9を排除したいだけ。9を排除しないと、その逆数 1/9 = 0.111… の循環周期が1(奇数)なので「奇数の周期は珍しい」という話の前提がいきなり崩壊するから…。だったら素直に、「9を除く」とか「10より大きい」って言えばいいじゃん!

「底10の擬素数」というシンプルな条件なら、120万以下の擬素数は300個あって、そのうち「逆数の周期が奇数」は15個だけ(9を除外すれば14個)。まあまあレア。現在の「ラビン・ミラー擬素数」という重い条件を付けると、同じ範囲にラビン・ミラー擬素数は68個しかなく、そのうち14個が「奇数周期」。同じ14個だが、68個中の14個というのは別に珍奇ではない。

条件が必要十分でなく過剰。論理的に間違ってるわけではないが、しっくりこないし、レア感も低下してる。

2019-07-01 追記 ↓エディターの先生が「こんな感じならいい?」と再編集してくれました♪ 多分プロの数学者から見ると、論理的に同値=表面的な言い方の問題にすぎないのでしょうが…。もともとの命題(Post、2009年、偽) 4187 is the smallest Rabin-Miller pseudoprime with an odd reciprocal period. → 1回目の更新(2019年6月。真になった) 4187 is the smallest Rabin-Miller pseudoprime in base 10 with an odd reciprocal period. (正確には覚えてないがこんな感じだった) → 今回の更新(2019年7月) 4187 is the smallest pseudoprime > 10 in base-10 with an odd reciprocal period. (この方がシンプルでいいかと)

2019-07-04 強擬素数よりもっと強い(だいたいこんな感じ?)

q を底 b = 10 の擬素数とする。q − 1 = 2sd と書く。ここで s ≥ 0 は整数、d は奇数。

q − 120, 21, 22, … で割った商 2sd, 2s−1d, 2s−2d, … のうち、b の肩に乗せると ≡ 1 (mod q) となる最小の自然数を e = 2td, t ∈ [0, s] とする。q が擬素数という仮定から、必ずこのような e が存在(強擬素数でなければ t = s)。

mod q において be ≡ 1 なので、b の位数は e の約数。

t = 0 なら e は奇数なので、b の位数は奇数。この条件を満たす q第1種擬素数と呼ぶことにしよう(強擬素数のうちの、特別な場合に当たる)。一方、t > 0 なら e は偶数であり、しかも be/2 ≢ 1 なので、b の位数は、その因子として少なくとも1個の 2 を含み、奇数ではない。

1/qb 進小数で書いたとき、1/q の循環節の長さ(言い換えれば b mod q の位数)が奇数ということは、q が第1種擬素数ということと同値。だから 4187 の性質について「強擬素数」と断るのは冗長で、ただの「擬素数」の範囲で考えても同じこと。

自明な擬素数 9 も同じ性質を持っていて、それを除外しないと、この文脈では 4187 は輝いてくれない。擬素数の底が b = 10 なのも、地球人がたまたま 10 進法を使っているというだけで、数学的必然性に欠ける。それらの点を別にすれば、これは面白いパズルかもしれない。

2019-07-05 1/q は純循環?

q を底 b の擬素数とする。1/qb 進小数で書いたとき、1/q は純循環小数。

【証】 qb の最大公約数を g として q = qg, b = bg と書くと、擬素数の必要条件 bq−1 ≡ 1 (mod q) すなわち (bg)q−1 − 1 ≡ 0 (mod qg) は、「g の倍数から 1 を引くと g の倍数になる」ことを含意する。これが成り立つためには g = 1 でなければならず、従って qb は互いに素。

【例】 底 10 の擬素数 q は必ず奇数であり、しかも 5 では割り切れない。だから、1/q が有限小数や混循環小数になることはない。

【系】 底 10 の擬素数は、1の位が 1, 3, 7, 9 のどれか。10 が底の場合、偶数の擬素数は存在しない。

2019-07-07 キュリオ3個目(1個採用・1個ボツ?)

(1) 底16の強擬素数の逆数を16進小数で書くと、ほとんどの場合、周期(循環節の長さ)が奇数になる。65281 = 0xff01 は最小の反例を与える。このような数は、120万以下の範囲には他にない。(今週末に提出、2日くらいで採用された。)

1/ff01 = 0.000100fffeff 000100fffeff... ← 4種の数字だけで書ける

(2) 33進数では (prime)33/2 は素数。(prime)33 − (curio)33 も素数。こちらは2週間くらい前に提出したが未編集のまま。ボツになったらしい。

単純に「自分が面白い」と思うものが見つかったら、またネタを送ってみたい。たとえボツになっても、考えを深めるきっかけになるし、それ自体が楽しいので…。

「The Prime Pages」は素数関係では国際的に有名なサイト(テネシー大学)。既知の巨大素数のランキング、素数に関する広範な用語解説を含む。「Prime Curios!」は、一般愛好家向け(マニアックな素数ハンターに限らない)コーナー。面白いトリビアを発見したら、誰でも投稿可(匿名でもOK、登録不要) → https://primes.utm.edu/curios/index.php ちなみに 4187 について間違った予想を投稿した Jonathan Vos Post はソフトウェア関係の大物で、採用数3位(500個以上)のキュリオ貢献者らしい。

2019-07-08 Carlos Rivera

Prime Curios! をブラウズしてたら、Carlos Rivera という投稿者を発見。『あしたのジョー』のキャラと同じ名前だ!(笑)

主人公が宿命のライバル(この場合、力石)を倒した後、物語がだれるのはよくあること。『ジョー』は例外で、力石が亡くなった後も印象的な「敵」が次々と登場する。強いて問題点(?)を挙げれば、出崎の演出があまりに鮮烈で、アニメ版が原作を食ってる面があるかも(言い換えれば、2種類のバージョンを楽しめる)。ジョーと言えば誰もが連想するあの有名なラストシーンも、原作(漫画版)は意外とあっさりした感じだよね…。

2019-07-09 カーロス・リベラ

「あしたのジョー」のカーロス・リベラは世界ランク6位のベネズエラ人だが、素数ハンターの Carlos Rivera はメキシコ人。くしくも一時期、素数ハンターとして世界ランク6位だったという(=その時点での既知の最大素数第6位の発見者)。Curios! では現在7位で、しかも1個もボツがない。これはすごいことで、Curios! のトップランクの人は「数撃ちゃ当たる」ではないが、採用ネタ数も多い分、意外と不採用ネタ数も多い(1個もボツがないのは Rivera だけ)。

リアルの素数ハンターと、フィクション作品のボクサー。同姓同名という以外、何の関係もないのだが…。

2019-07-11 トリプル・サンドイッチ・カーマイケル

連続する4個の奇数が、全て素数またはカーマイケル数になるケースがある。最初の例は p = 656597 から始まる。ウェブ上を検索した限りでは、このことはまだ明示的には言及されていないようだが、次のことを組み合わせると、同じ結論に達する。

(1) p = 641 から始まる三つ子素数は (p, p+2, p+6) 型で、かつ p+4 が底2の擬素数。これは、このパターンの最初の例であり、2番目・3番目の例も容易に見つかる(p = 656597, 6212357)。Rivera は2002年に既に同じ発見をしていた(Puzzle 170. Pseudoprimemania)。2番目の4つ組に含まれているのは、ただの擬素数ではなく実はカーマイケル。

底2の擬素数を包み込む三つ子素数の最初の数をリベラ素数と名付けよう。

(2) 2017年、Are there further "sandwich"-Carmichael-numbers? において Peter は、カーマイケル数 n = 656601 について n−2, n+2 が素数であることに注目した(素数にサンドイッチされたカーマイケル数)。実はこれ、ただのサンドイッチではなく n−4 も素数(下側のパンが2枚重ねのトリプル・サンド)。それが2番目のリベラ素数というわけ。

2~4番目のカーマイケル・トリプル・サンドは恐らくいずれも17桁で「下側が2重」タイプ。ただし「小さい順に何番目か」という部分は、Pinch のテーブル(Pseudoprimes and Carmichael numbers)に誤りがないことに依存する。

リベラ自身が(2002年のマシンでは)見つけられなかった4番目のリベラ素数は、p = 18958567877。これについては、19*10^9 以下の三つ子素数を全数検索して確認した。

2019-07-13 クォーターパウンダーというサンドイッチ(ハンバーガー)

パズル(一般向け) 100 より大きい3個の素数 q, r, s を見つけてください。ただし 4q, 3r, 2s は連続する3個の整数(例えば 205, 206, 207)です。

どうでもいいような問題だが、面白いのは最小の解 q, r, s がそれぞれ、1/4ポンド、1/3ポンド、1/2ポンドをグラムで表した値(端数は四捨五入)になること。

このパズルを思い付いたきっかけは「クォーターパウンダー」というサンドイッチ(バーガー)。正直、自分でも他人が面白いと感じるか確信がなかったけど、試しに Curios! に送ってみたら、これが通った。

「クォーター・パウンド」「ワンサード・パウンド」「ハーフ・パウンド」のバーガーは、全部、実在する商品。それらのパティの重さは、グラムでいうと全部素数…というわけ。1/4ポンド、1/2ポンドをパッとグラムに換算できると、実用的にも意外と役立つかも?

2019-07-13 セクシー擬素数

「これはやり過ぎかな」とも思ったが「セクシー擬素数」を Curios! に送ったら、あっさり通った。

「双子素数」「双子擬素数」を拡張して、「セクシー素数」があるんだから「セクシー擬素数」を考えてもいいじゃん、という素朴な発想。(13741, 13747) が、底2における最小のセクシー擬素数。

実は2番目の「セクシー擬素数」ペアは「69」から始まる数。そのことについて一言ジョークを入れても良かったのだが、それはさすがに下品なので思いとどまった。個人のブログなら無問題でも、学校のサイトなので…。「セクシー擬素数」が通ることが分かっていれば、ポーカーフェイスで「2番目の例は、69から始まる7桁の数である」とコメントしたんだけどね!

2019-10-04 「4次元立方体」の脳内作図

4次元というと手ごわそうだが、考えてみると、思ったよりずっとシンプルっぽい。だいたいこんな感じかな…

目の前に、一辺の長さ1の立方体の箱が一瞬出現して消えたとする(「今日の箱」と呼ぶ)。24時間後、全く同じ場所に、同じ大きさの箱が一瞬出現して消滅したとする(「明日の箱」と呼ぶ)。

「今日の箱」と「明日の箱」は、どちらも底部が合同な正方形なので、その底部同士を「同じ大きさの底面を持つ直方体」で接続できる。「直方体」の上側の底面にのりをべったり付けて「今日の箱」の底面に接着し、「直方体」の反対側の底面にものりを付けて「明日の箱」の底面に接着すればいい。3次元空間内ではできないが、後述のように、時間軸方向に「ワープ」させれば簡単にくっつく。「箱の底部」という面の外側(箱の外)・内側(箱の中)のどちらに接着するのか?という問題はひとまず無視して「都合よくワープ成功した」と仮定する。同様に、今日の箱・明日の箱の上側の面同士を「第2の直方体」で接続する。さらに、4個の側面についても、それぞれ対応する場所を第3・第4・第5・第6の直方体で接続。

「今日の箱」と「明日の箱」は、全部の面にべったりのりが付いたので(箱の外側・内側という疑問は未解決だが…)、それら2個のパーツ(3次元でいえば角柱の底面のような部分)近傍に隙間は残らないだろう。けれど、接続に使った6個の直方体(3次元の角柱でいえば側面のような部分)同士が「隙間なくピッタリくっついている」ことをどう示せばいいか。くっつくべき場所には、外れないようにのりを塗ればいいとして、6回のワープの経路(どれも直方体)は、そもそも「相互にのり付け可能」な位置関係にあるのか?

「箱が一瞬現れて消えた」と考えるのをやめ「1日ずっと同じ場所に存在して消えた」と考えてみる。すると「明日の箱」は「今日の箱」が時間軸方向に滑らかに連続移動したもの。今日と明日の間の各瞬間について、箱の6面のそれぞれのどれを考えても、微小な厚みの正方形が「時間軸方向にまっすぐ1日分」積み重ねられたことになる。ゆえに、箱の一つの面を選んでそれを「底面」とし、時間軸が高さになるように座標系を定義すると、結果は直方体になる。先ほど「のり付け」した直方体(計6個)の一つ一つに他ならない。のみならず、今日~明日の箱は3次元空間内では一切動いていないので、箱(それ自身には3次元空間内で穴はない)を構成するどの点を考えても、それは時間軸方向に「密に平行移動」するだけで、新たに穴の開く余地はない。

時間軸だと思っていたものを「空間的な4次元方向」だと再解釈し、時間の「1日分」を4次元方向の「長さ1」に置き換えれば、のり付けした直方体は立方体になり、全体は一辺の長さ1の4次元(超)立方体になる。すると(3次元の)立方体パーツは計8個。立方体単位で切り離すと計48面あるはずだが「のりを外側に塗った面」は接着後はふさがって、外側から触れない。「のり付け=別々の立方体の2面が共有されて1面になること」なので、直観的には半分の24面が、外側から触れる位置に残るはず…。立方体の箱自体、ばらせば6個の正方形=24本の辺だが、箱にすると辺が12。「正方形同士をつなぎ合わせるとき、ばらでは2本の辺が箱では共有されるから数が半減する」と解釈できる。

頂点の数は「今日の箱」に8個、「明日の箱」に8個、それらを4次元方向に結ぶだけなので他にとがった場所は発生せず、計16個だろう。対応する8個の頂点同士を結ぶので「4次元方向」に8本の辺が生じる。「出発点・終点」の2個の箱には3次元空間内に12本ずつ辺があるので、辺の数は合計で 12×2+8=32 と予想される。ホントかな(笑)?

高次元幾何が得意な人には、こんなのは基本中の基本、朝飯前なんだろうけど。モチベーションもなく(むしろ苦手意識もあり)、ちゃんと考えたことがなかった。↑も半分妄想みたいな「直観」で、ロジックの厳密性は不明(結果の数値は合ってるっぽい)。五胞体は昔、考えたことがあるが、何年ぶりかに、気まぐれに4次元を考えてみた…

2019-10-22 「最後の素数」(その1)

素数に「本当の最後」はないこと(いくらでも大きな素数があること)は、よく知られている。けれど例えば「無量大数」までの数詞を普通に使うという条件で、五十音順で日本語最後の素数を考えることはできる。Rivera は数日前、フランス語について、同様のことを投稿した。いわく:

「S = 23000000000023023661 は、アルファベット順において、フランス語の最後の素数である」

Alphabetically, the last prime in French: "vingt trois trillions vingt trois millions vingt trois mille six cent soixante et un." By Pierre Tougne (1982), sent by Jean Charles Meyrignac. [Rivera]

上記の主張は、いろいろな意味で正しくない。ABC順でこれより後ろの素数はたくさんある! 数学パズルや素数が好きな方は、挑戦してみてほしい。

〔フランス語の数詞の参考資料〕1000まで1個ずつ書いてあるページ数値を単語に変換してくれるサイト

★考えても分からない方は → ヒント

注: 現在(1961年以降)のフランスでは、公式にはロングスケールが使われる(billion=1兆, trillion=100京)。実際の用例上は、必ずしもそういう言い方にはならないのだが、このパズルでは公式ルールを使う。英語風のショートスケール(billion=10億, trillion=1兆)ではない。英語と違い、フランス語の million, billion などは、2倍以上だと末尾に -s が付く。cent, mille は英語の hundred, thousand と同じで、2倍以上でも -s が付かない(※)。

(※)例外として、下3桁が端数のない 200, 300, …, 900 のときは cents が使われる(200=deux cents, 201=deux cent et un)。80=quatre-vingts, 81=quatre-vingt-un における vingt と同様。ここでは素数を考えているので、例外ケース(100の倍数)は無関係。

2019-10-23 10億102万4867

1001024867 は、普通に英語でスペルアウトしたとき、アルファベットの20種類の文字を必要とする最小の素数。「これは面白いものが見つかった!」と思いつつ、検索してみると…。またしてもリベラに、5年くらい先を越されていた(Puzzle 744)! さすがはカーロス・リベラ。さすがは無冠の帝王(笑)。リベラは、この手のネタにめちゃくちゃ強いだけでなく、有名なパズルサイトを運営していて、世界中からフィードバックを得ている。ちなみに、半年くらい前「あしたのジョーの登場人物と同姓同名ですよ」とメールに書いてみたが、その点については何の反応もなかった。数学遊び一筋で、漫画には興味がないのかもしれない。

リンク先のページでは、アルファベット22種(アクセント記号の有無は区別しない)を使うスペイン語の素数として、10^120 + 10^42 + 10^36 + 10^12 + Cn の形を扱っている。読者が C6 = 5410587 を報告、リベラはさらに小さな C2 = 3710587 を得ているが、これは本当の最小 C1 ではない。C1 の値は昨日リベラ自身が投稿し、筆者も独立に同じ値を得た。小さい順で C2 は2位、C6 は6位になるようだ。パズル好きの方は、C1 を探してみよう!

これらは、あくまで数学パズル。語学はあまり関係ない。スペイン語なんて「ウノ・ドス」くらいしか知らなかったが、数字をスペルアウトするアルゴリズムは資料を見て適当に考えた。「最後の素数」も同様で、フランス語はあんまり関係ない(たとえフランス語の達人でも、それだけでは解きようがない)。問題の核心は「100桁くらいの数の素数性をどう判定するか」。この部分は難しいが(もちろん試行除算だけでは無理)、やればできる範囲だろう。

(あくまで遊び。何かの役に立つわけではない。入試に役立つみたいな世俗的メリットは、何もない。)

リベラの下記のポカは、本人の計算ミスではなく、読者からのフィードバックをノーチェックでそのまま転載したのが原因だろう。少しでも疑う気持ちがあれば、簡単に反例が見つかる。でも肯定的に考えると、リベラがこれを投稿したから、話が広がった!

2019-10-25 連続31素数を生成する2次式

8k2 + 8k − 197 の絶対値を考えると、それは k = 0, 1, …, 30 に対して相異なる素数。連続40素数を生成するオイラーの式 k2 + k + 41 にはかなわないが、それに近いものである。

オイラーの式を別にすると、この型(1次と2次の係数が同じ2次式)の明示的な世界記録は 6k2 + 6k + 31 の連続29素数(A060844)だが、こっちは連続31素数。ある意味、世界記録を塗り替えた!

素数生成多項式は検索が盛んであり、8k2 + 8k − 197 のような単純なものは、当然とっくに知られているはず。同じ形の式はなぜか見つからないが、本質的に同じ 8k2 − 488k + 7243 が2005年に報告され、A272160 にもなっている。冒頭の形の方がシンプルで良いのに、なぜそんな書き方をするのか。想像だが「k = 0, 1, …, 60 の連続61入力に対して素数になる」と言いたいために、複雑な形にしているのでは…。実際に生成されるのは31種であり、同じ素数を2回ずつ生成して見掛けの数を水増しするのは、美しくない。「1次と2次の係数が同じ(小さい自然数)で、定数項が小さい素数」と決めれば(※)、全数検索は容易であり、従ってランキングを確定できる。その結果、連続29素数を生成する別パターンの式も見つかった。

「素数生成は研究され尽くして、遊びで新規参入する余地などない」という気がするが、アイデア次第で意外と隙間もあるのかもしれない。例えば、連続○素数という数は小さくても、それら○個の素数の全て(あるいはほとんど)が何か特別な性質を持つ…というような珍しいパターンを探すと面白いかも。

(※)この前提自体、必ずしも自然ではないが、定数項が正の場合、そうすれば簡単な漸化式でも書ける。オイラーの k2 + k + 41 でいえば、生成される 41, 43, 47, 53, 61, … は定数項を初項として、次々に 2, 4, 6, 8, … を足しているとも解釈可能。

2019-10-26 「対リベラ戦」第3ラウンド(笑)

数日前、Rivera は P(0) = 2426256797 が次の性質を持つことを指摘した。

性質「k=1..9 に対して P(k) = P(k-1) + 2k も素数である」

上記の主張は正しいが、それに続けて「この性質を持つような、もっと大きな列は知られていない」とも主張していて、それが問題。もっと大きな例を直接構成することは、易しい。

この列は、初項が素数 p で、階差 2, 4, 6, ... を持つのだから、一般項は p に三角数の2倍を足したもの。すなわち k^2 + k + p の形のオイラー風・素数生成式になる。これは熱心に研究されている分野で、同じ性質を持つ P(0) は何千個も記述されている(A191456)。リベラは「より大きなものは知られていない」と言うけれど、2426256797 は何千種類も知られている中で「13番目に小さい雑魚」にすぎない(追記)。

だからといって、速攻 Curios の編集者に連絡するのは「先生に言い付ける」みたいで嫌な感じなので、またメールを書いて直接リベラに連絡したのだが…。「数学的に明らかに間違っている主張」に気付いた場合、瞬時に撤回するのが普通だろう。けれどリベラは「どうするか未定。もう少し考える」という反応。仕方がないので、2426256797 を「無理やり面白く」する方法を考えてみた。

「k=1..9 に対して P(k) = P(k-1) + 2k も素数になるような最小の素数(ただし桁の6個以上が偶数であるとする)は、P(0) = 2426256797」

一応、数学的に正しい主張になった(笑)。リベラには「スペイン語バージョン」の C2 も取り消すようにそれとなく言ってみたのだが(C1 が本当のチャンピオンで C2 はあまり面白くない)、思い出が詰まっているのか、これを消すつもりはないらしい。「フランス語バージョン」については、残念ながら明らかな反例が見つかったので、議論の余地はなく、直接編集者に連絡、リベラの数(実際には第三者の主張を引用したもの)は削除された。フランス語ネタ・スペイン語ネタ・オイラー風ネタと1週間のうちに3回もリベラに文句を言っているが、たまたまタイミング的にそうなっただけ。あくまで数学上の話であり、私生活でけんかをしているわけではない(メール上ではフレンドリーな関係)。それどころか、リベラは「クォーターパウンダー素数113」がたいそう気に入ったらしく、この週末もっと大きい例を探し求め、既に100桁以上の例を得たという。

リベラのサイトは、専門家向けの記事で参照されることもある。そんな大物なのだが、天才にありがちな「大ざっぱな面」も持っているようだ。水も漏らさぬ全数検索や考察・証明をしないで「これが最良」と主張しているケースがある。「昔のパズルの結果を投稿しているので、当時見つかった最善に当たる」とのこと。結果的にそれが刺激になるのだから、悪いことともいえないが…

2019-11-04 2426256797について

リベラの P(0) = 2426256797 についての観察は、単に「k=1..9 に対して P(k) = P(k-1) + 2k も素数である」というだけでなく、「P(k) の直前の素数は P(k-1) である」すなわち「その部分の素数ギャップが 2k である」ということを言いたかったらしい。それにしても「より大きな例は知られていない」という主張はおかしい(1秒で検索できるのだから)。「最も小さな例である」と言うのなら、これはこれで興味深い。

Prime Gaps     2 4  6   8   10    12     14      16       18
Primes       +02 6 12  20   30    42     56      72       90
 2426256797 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
 6430890287 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
 8518049207 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
55065405671 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
55373581421 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
60590486081 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
66945470477 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
76566117071 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
78067026071 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P
95748657617 : PP-P--P---P----P-----P------P-------P--------P

2019-10-27 誰も考えことのないタイプの素数

p = 46662004177 は、一見、何の変哲もないランダムな素数に見える(反復桁が多いという特徴はあるが)。

16進数に直すと ADD45ADD1 であり、これは「45を足せ。1を足せ」と読める。実際に p+45+1 を計算すると何が起きるか。結果は q = 46662004223 であり、q は p の次の素数。すなわち概念上、素数 p は f(x) = x+45+1 という操作をコーディングした「ゲーデル数(のようなもの)」と解釈でき、その「ゲーデル数」が表す操作をその「ゲーデル数」自身に適用することで次の素数が生成される…という、ある種の自己言及的性質を持っている。ADD は自然言語であり、本物のゲーデル数ではないが、ちょっとワクワクする!

14進数の ADD9ADD3 すなわち10進数の 1159386637 は、さらに小さな同様の例。

36進数なら、アルファベットの全部の文字が使える。「完全自己言及素数」(自分自身を生成する操作を表す文字列。その文字列の指示に従うと、その数自身になる)を作れるかもしれない。

「最後の素数」(その1)のヒント: 下記のように、リベラの数 S では ????? の部分に six がある。辞書順で six より後ろの単語が ????? に来るようにできれば、アルファベット順で S より後ろになる例が一つ見つかったことになる。

S: Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille six cent soixante et un
T: Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille ?????

2019-11-01 「最後の素数」(その2) アン・ドゥー・トロワ、おフランスざーます!

その1の続き。フランス語なんて縁がない人でも「アン・ドゥー・トロワ」くらいは聞いたことあるでしょう。ABC順で trois の方が six より後なので、????? の部分が trois やそれに似た言葉になれば、Sより後ろの素数の一例となる。

S: 23000000000023023661
Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille six cent soixante et un
T: 23000000000023023???
Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille ?????

従って、上記の形の数のうち、下3桁が「3」か「30」台か「300」台になる素数が一つでもあれば十分だが、最初の2種類の可能性は、すぐ否定されてしまう。

23000000000023023003 = 3で割り切れる
23000000000023023031 = 409で割り切れる
23000000000023023033 = 3で割り切れる
23000000000023023035 = 5で割り切れる
23000000000023023037 = 19で割り切れる
23000000000023023039 = 3で割り切れる

そこで下3桁が「300」台を考えると、1個だけ「343」が素数となる。

S: 23000000000023023661
Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille SIX cent soixante et un
T: 23000000000023023343
Vingt-trois trillions vingt-trois millions vingt-trois mille TROIS cent quarante-trois

これで「Sはアルファベット順で、フランス語最後の素数」という主張を崩すことができた。この他、もし仮に下3桁を「001」「013」または「020」台または「600」台のある種の数にできれば S より後ろになるが、そのような素数は「647」(Six cent quarante-sept)だけであり、これは「661」(Six cent soixante et un)よりABC順で前なので、この桁数では T が唯一の反例。

注: フランス語の正確なスペルを覚えている必要はない。その1でリンクした参考サイトからコピペすれば十分。「フランス語」という表面に惑わされず「アルゴリズムの問題」と割り切ろう。

しかしまだ問題が解決したわけではない。実は T も「本当の最後」ではなく、アルファベット順でもっと後ろの素数を作る方法がある。その方法は「とんち」ではなく、あくまで「普通の数詞」の範囲だが、「京・垓・𥝱」の類いの非日常的表現(大きな数の名前)が絡んでくる。「ばびっと数え歌 でかい数編」がヒントになるかもしれない。

最終的には、あるタイプのばかでかい数の下3桁を調整して、なるべくABC順で後ろの素数を見つけることに帰着される。一般の整数について、素数性の判定は簡単ではない。上記の S や T にしても「たったの trillion のオーダー」とはいえ、ロングスケールでは2の64乗を超える。素朴な試行除算だけでは厳しい。

ここでは取りあえず PARI の isprime で素数性を証明した。24桁以内の数については「最初の13個の素数を底に SPRP なら、本物の素数」ということが証明されているので、それを自力でやってもいいのだが、まあ PARI を使うのが手っ取り早いでしょう。

2019-11-02 「最後の素数」(その3) 巨獣召喚

「メキニ・メキニ・ヌダラダラ~ いでよっ、アンデシリョン!」

じゃじゃーん Undécillion 「ぎゃおーん!」

1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

テロップ「巨大怪獣アンデシリョン 10の66乗(100分の1無量大数)」

S や T の頭にある trillions を undécillions に置き換えれば、それだけで「もっと後ろ」の素数が非常に多数考えられる(アルファベット順で u は t より後ろなので)。S を見たとき最初に考えた抜け道は、これだった。だが安心するのはまだ早い。

ラスボス「ワーハッハッ、66乗ごときで巨大とは笑止千万・無知蒙昧。唸れ! 衝撃の! ヴィジャンティリョン!」

ぞぞっ・ぞぞっ・ぞぞぞっ Vigintillion 「うをおーん!」

1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

テロップ「檄!帝国・最終巨獣ヴィジャンティリョン 10の120乗

ラスボス「見ろ! 無量大数がゴミのようだ」

ABC順で v は u よりさらに後ろ。ABC順でこれより後ろの単位はない。これら2種類の単位を使って「フランス語最後の素数」が構成される。V1 より V2 の方が後ろであることに注意すれば、この先はほぼ一本道だろう。

V1: Vingt-trois vigintillions 23*10^120
V2: Vingt vigintillions       20*10^120

2019-11-06 「最後の素数」(その4) 10の120乗まで、キッチリ回せ!!

ここまでの話から、
p = 20*10^120 + 20*10^66 + 23*10^18 + 23*10^6 + 23*10^3 + x
0 ≤ x ≤ 1000
の形の素数が存在すれば、その中にフランス語最後の素数(ABC順)があることが分かる。だが100桁を超える巨大な数で「下3桁しかいじれない」というのは、相対的な大きさで言えば「針の穴のような細い隙間で素数を探す」ようなもの。そんな都合のいい素数がそもそもあるのか。あるとしても、どうやって見つければいいのか?

実は PARI の nextprime を使えば、候補はすぐに見つかる。該当するのは x = 349 または 657 または 727 の三つ。いずれの x に対しても p が本物の素数になることは、別途証明される。349 は trois から始まる言葉だが、残り二つは s から始まる言葉。だから、x = 349 のケースが「ABC順で最後」。

million, billion, trillion, ... と上がっていっても、ABC順で trillion より先には行けないように思える。常識の範囲ではそうだが、諦めずに11番目まで上がると undécillion が現れて「Tの束縛」が破れ、さらに20番目まで上がると vigintillion が現れて「Uの束縛」も破れる。もっと上の数詞は考えられるが、W より後ろの文字から始まる数詞はない。

相対的には「針の穴」でも、調べてみると、案外、素数が詰まっていた。100以下の素数は25個(4%)、1000以下の素数は168個(2%未満)…という減り方(どんどん密度が薄くなる)から素朴に考えると、122桁の数に1000分の3(0.3%)も素数が含まれているのは、ちょっと意外な気もする。エラトステネスのふるいによれば、数が大きくなればなるほど、何重にも何重にも「ふるいの弾幕」が張られ「一度も弾に当たらない(何の倍数にもなっていない)数」はまれになるはず…。もっとも素数が薄くなると「新しい弾幕の砲台」も減る。2の倍数・3の倍数・5の倍数・7の倍数…といった「古い弾幕」はどこまでも有効だが、「新しい弾幕」がだんだん薄まる結果、意外と「生き残る素数」も出てくる。

具体的に、
pi(x) = x/log(x)
pi(10^121) / 10^121 ≈ 0.003589
なので、計算上、122桁の数では整数1000個につき素数が3~4個ある。

素数マニアはよくメルセンヌ素数の類いを持ち出して「とんでもない桁数の素数が見つかりました。世界記録更新!」と大騒ぎする。2019年現在、既知の最大素数は約2500万桁、2番目は2300万桁。一見「こんなに大きな素数は非常に珍しい」かのような印象を与える。ところが上記と同様に考えると、同じ桁数の素数はもっともっといっぱいある(大ざっぱに、整数1億個につき1個以上)。巨大素数の新記録はソフト・ハード両面の進歩、工夫と情熱の産物であり、人類の進歩としては素晴らしいことなのだが、人類を外から見ると「2000万桁程度の素数は何億個も何兆個も何京個もあるのに、そのうち1~2個しか見つけられない」というのは自慢にならない。「おれの素数の方がでかいぞ。1000万桁を突破したぞ!」と虚勢を張っても、実際にはたった1000桁の因数分解ができない…。

Prime Curios!

2019年7月27日

「キュリオ」(珍品)って何?

「Prime Curios!」のホームページには、最初にこう書かれています。

「Prime Curios!」は、素数に関連する珍しいこと・不思議なこと・トリビアを集めた楽しいコレクションです。立ち止まって、野の花の匂いをかぐこと。珍しいコインを集めること。春の雷雨のとき巻き雲を眺めること…。私はこれまで、そういったことの価値が分からない大勢の人たちに出会いました。昔のことわざで「美は、それを見る人の目の中にある」といいます。私たちの目はどうでしょうか。ぜひ私たちのキュリオを試食してみてください。

コンテンツ・エディター: G. L. Honaker, Jr. / テクニカル・エディター: Chris Caldwell

私たちの目標は、面白い性質や形を持つ一つ一つの素数のコレクション(いわば辞書)を作ることです。あなたは何か、面白い数を知っていますか。他の人が「もっと話を聞きたい」と思うような調子で、あなたのキュリオを一般の人に分かるように説明できますか。もしそうなら、知らせてください。

2019年7月25日

提出したキュリオたち

忘れないうちにメモしておきたい。

最初に提出したキュリオは「フェルマーのクリスマス定理で遊ばせて!」(2018年12月)で書いた「79の不思議」。何となく送ってみた。送信のときメアドを記入するので、採用されたらメールで通知でもくるのかな、と思ってた。実際には何の連絡もないし、ユーザー登録もパスワード認証も何もない。今どきのんきな世界だが、まあ他の素数愛好家になりすます詐欺師もいない(なりすますメリットもない)のだろう。知らないうちに(たぶん提出後、翌日くらいに)採用・掲載されていたらしい。記憶が曖昧だが、2019年1月に送って、2月になってそれに気付いたような。送信した方も、のんきだった。

2番目のキュリオは、4187 についての既存のキュリオと関係がある。後から分かった客観的事実としては「間違いに気付いたから連絡した」という形だが、その時点では「自分の側が何か勘違いしてる?」と疑問に思ってた。「4187は逆数の循環節の長さが素数になるような最小の強擬素数(自明な底を除く)」というネタを送り、コメントとして疑問について尋ねてみたが、反応がなかった。

3番目のキュリオは、15319333 に関するもの。33進数では「prime/2」がこの素数になる、というネタだが、これはボツになった。同時に、4187 について、問い合わせフォームから質問の形でコメントを送信したところ(自分の中の疑問を解決したかった)、こちらには反応があり、結局、思った通り、掲載されていた内容に不備があったと判明。普通、数学の命題は真偽がハッキリするものだが、既存のキュリオには定義が曖昧な用語が含まれていて、そのせいでクリアカットに判断できなかった。意外な展開として、もともとあった 4187 のキュリオが自分のキュリオという扱いになった。

4番目のキュリオは、65281 に関するもの。4187 の「16進数バージョン」のようなもので「逆数の循環周期が偶数になるような最小の底16強擬素数。120万以下に他にこのような数はない」。これは採用された。

5番目のキュリオは、656601 に関するもの。三つ子素数の内側にある最小のカーマイケル数。既に10年くらい前にリベラが「三つ子素数の内側にある底2擬素数」と記述しているのであまり新規性がないのだが、カーマイケルであることを含めて、独立に見つけた。

6番目のキュリオは、113 に関するもの。1/2ポンド、1/3ポンド、1/4ポンドがグラムでいうと(端数は四捨五入)どれも素数になるという観察に基づく軽いネタ。これは前から知っていた純粋な発見で、ずっと「そのうち Curios! に送ろうかな」と思ってたもの。

7番目のキュリオは、13741。底2擬素数のギャップが6の場所を見つけたので「双子素数」に倣って「セクシー擬素数」と名付けた。

8番目のキュリオは、4369。「16進レプユニットになる最小の底2擬素数」という観察(0x1111)、その形の2番目は 0x1111111 であるという指摘、それらを結合すると3番目(16進数で1を11個並べた数)になる、という観察。このきれいなパターンには、ちゃんと理由があるのだろうけど、いかにもキュリオっぽい。

9番目のネタは、561825265 に関するもの。「561 も 825265 も底2擬素数、それをつなげた 561825265 も底2擬素数」。これも珍妙だが、こちらはボツになってしまった。掲載基準もけっこう気まぐれ? 桁数が多いと審査が厳しいのかもしれない。調子に乗って「561 も 825265 も20進数では回文数」などと書いたのも、くど過ぎたかな?

10番目のキュリオ。第1・第2千年紀の合計日数は 730487日で素数…というもの。これは通った。純粋数学の世界では、暦・歴史が絡むネタは新鮮だったのかな?

11番目のキュリオは 595039。この素数は16進数 0x595039 = 5853241 と解釈しても素数。それをさらに 0x5853241 = 92615233 と変換してもまだ素数。同様に繰り返して、長さ7の連鎖を作れる最小の数。面白いかどうかは微妙。投稿時、長さ8の連鎖も複数得ていたが、あまり大きい数だと無味乾燥なので、長さ7の方を提出。

12番目のキュリオは 24046。{24043, 24046, 24049} の3個は、どれも底3概素数(本物のセクシー素数のペアの真ん中に、偶数の底3擬素数がある)。このパターンの底3擬素数は 10^10 未満に3個しかなく、しかも2個目は1個目(24046)の倍数。「素数ページで偶数のネタは難しいかな」と思いつつ、面白いからいいや、と提出。

13番目のキュリオは q = 9890881。q と 2q+1 がどちらも底2擬素数になること、そのような数は珍しいこと、4進数のレプユニットはしばしばこのパターンになることを書いた。どれも既によく知られている事柄だったが、Feitsma’s table を使って独立に再発見。「ソフィー・ジェルマン擬素数」と名付け、擬素数の長さ3の Cunningham chain は可能だろうか、と尋ねた。自然な問いなので、これもきっと誰かが既に考えてるんだろうけど…。送信のとき base-4 repunit がNGワード扱いされ当惑した(4th base が俗語で「セックス」だからと思われ。repunit in radix 4 と言い換えて投稿)。

14番目のキュリオは素数 50497 に関するトリビアで、再び暦ネタ。毎月の「2日」「3日」「5日」のような「素数の日付」をカウントすると、400年ごとにこの素数になる。

最初のころは、純粋に「たまたま見つけた面白いネタ」「数学的に自然な問題」を散発的に送っていたが、だんだん「ネタのためのネタ」的要素が混じるようになってしまった。「面白いことがあったら Curios! に提出する」から「Curios! に提出するためにネタを探す」にシフト。ゲームのような面白さもあり、つい夢中になって、2週間くらいの間「週7個まで」の制限ぎりぎり近く投稿してしまった。でも、表面的な現象の不思議さ・物珍しさを次々と追い求め、その背後にある数学を考えないのは浅はかで本末転倒。新しいことを考え学ぶきっかけにはなるのだが、「きっかけ」だけで終わらないように、これからは(既に送った上記のキュリオたちも含めて)現象の意味を掘り下げて考えるようにしたい。

Curios! では採用数ランキングが表示されるので「よし、世界ランク100位に入るまで送ろう」などと思ってしまうが、それは意味のない虚栄心。「次の目標は50位だ・20位だ」などと考えてしまうと、きりがない。巨大素数探しの競争に参加する気になれないのも、同じ理由。

「競争に勝つため」みたいな、目的のために努力するのではなく、それ自体が楽しいから夢中になる、ってのが一番いい。外部的な目的・動機付けなんて要らない。教科書を読んできちんと勉強すれば速いことだって、そうしたければ、自分のやり方で試行錯誤を楽しみたい。非効率だっていい。それ自体が目的だから。結果ではなくそれ自体が幸せだから。

世の中の進歩・学問の発展だって、大きなブレークスルーは「命令されてやる人・義務だから働く人・決められたことを忠実にやる犬」からではなく「それ自体を楽しむ人・気まぐれに行動する猫」から生まれるんじゃないだろうか?

資料を調べたければ(教科書を読みたければ)、そのときはそうすればいい。「今はこうしよう」って感じたら、何でもそうすればいい。「こんなことしてる場合じゃない」って分かっていながら、逃避的にゲームに熱中する…みたいなのとは違うよ。後ろめたい逃避的な遊びでは、純粋に楽しめないからね!

2019-07-27 15番目のキュリオとして、62481801147341(テトラコンタンの異性体の数)を出そうとしたら、2018年9月に既に出されていた。数論の人は純粋志向で、有機化学なんて興味ないだろう、というイメージがあるが、そうでもないのね…。せっかくなのでついでに書いておくと、5より大きい素数になるのは、この C40 に続いて C112 と C149。素数愛好家は、この3個目に反応すると思われ。M149 は有名なメルセンヌ素数なので…。これらは純粋な理論上の数で、物理的な意味で、本当にこの数の異性体が存在し得るわけではない(Isomer Count)。

2019-07-30 堀井憲一郎という人は、読書記録を付けていたがそれをやめて、その理由についてこう言っているそうだ(*)。「本を読みたいんじゃなくて『読んだ本の記録数を伸ばしたくて読む』という気持ちが出てきたから」「数字を数えだすと、数字のほうが大事になって、本体はどうでもよくなってしまう」 上記の現象も同様で、知らないうちに「掲載数を増やしたい気持ち」が出てきて、「純粋に数学を考える気持ち」に干渉するようになった。

ともかく最初は2019年1月ごろ、気まぐれに1回投稿しただけなのに、7月上旬に編集者とメールでやりとりしたのがきっかけとなって、7月には記録上・合計13個も送ってしまった…。計3個くらいボツになったが、11個掲載。10個掲載でランク90位台になって「幼稚な目標」も達成されたのに、そこでやめず、さらにネタを考えてしまう。これはちょっとやばいし(addictive)、あるべき状態ではないと感じた。

本当にそのこと自体を楽しんでいるか? それとも、それをやったことを人に見てもらいたい・評価してもらいたいだけなのか? 昔、1週間かけてヘキサデカン(C16)の異性体10359個を手動で数えたことがあるが、誰かに自慢するためにやったわけではないし、実際それをやったこと自体、誰にも言わなかった。多分そういうスタンスが、自分には一番合ってる…。「面白いことが見つかったら共有するけど、それは副産物」みたいな。

2019年10月31日

追加 Curios

(#15) 2019年8月。553 は、固定された 1 < b < q−1 に対して q, 2q−1, 4q−3 がいずれも b-擬素数になるような最小。#13 で自問した擬素数チェーンの一種(弱い例だが、もっと強い例を見つけるのは困難)。

(#16) 2019年9月。p = 53176534057553 は sqrt(k)*p, k=1..15 の整数部分が素数または半素数になるような唯一の素数 < 10^11 である。

(#17) 2019年10月。アルファベット順でフランス語最後の素数は
20*10^120 + 20*10^66 + 23*10^18 + 23*10^6 + 23*10^3 + 349 =
20000000000000000000000000000000000000000000000000000020000000000000000000000000000000000000000000000023000000000023023349
である。もともとリベラが考えたネタだが、リベラの結果を改善し、採用された。実は整数をあえて分数で表現すれば、アルファベット順でさらに後ろにできるが、それは数学というより「とんち」だろう。

(#18) 2019年10月。13323377777 は、英語でスペルアウトしたとき100文字を超える最小の素数である。ただし、全て (resp. 最後) の hundred の後ろに and を挿入するなら、1117373377 (resp. 3323373377) がそれに当たる。「数字をスペルアウトする」系のネタで #17 からつながる。採用された。

(#19) 2019年10月。197 について。オイラーの多項式を別にすると |8*k^2 + 8*k − 197| は、この形の最良の素数生成多項式である。k=0..30 に対して、別々の31種類の素数を生成する。絶対面白いはずだが通らなかった。既知と判断されたのだと思われる。このネタも、実はリベラの 2426256797 についてのネタ(数学的に正しくない)について考える過程で発見。

(#20) 2019年10月。f(0) = 193 から始めて f(k) = f(k-1) + 90k for k=1..9 は10個の素数を生成し、それらのどの素数も、桁の和が等しい。上記と同系統の素数生成2次式だが「桁の和一定」という条件を付けたもの。このような最小の例。この時点で既に14要素くらいの同様の例を得ていたが、試しに小さいものを送ってみた。9の倍数を足して桁の和が変わりにくいのは当たり前という印象もあるだろうが、実際には桁の和が固定されるわけではなく、しかも素数という条件と重なるので、要素数が多い場合、シンプルな例はかなり少ない。

(#21) 2019年10月。46662004177 = 0xADD45ADD1 は、次の素数を生成する方法を16進で「自己言及」する最小の素数。14進なら ADD9ADD3 があり。ポインターのアドレスのようで面白いと思った。

(#22) 2019年10月。129023 は、2進数で1が15個ある最小の素数。下4桁を並び替えた 2039 は、2進数で1が10個ある最小の素数。「2進数で~」の部分は既知だが、並び替えの部分が面白いと思った。#20 の「桁の和」つながりの小ネタ。

(#23) 2019年10月。285281 は、1より大きい連続奇数から作ることができる最小の4つ子素数の先頭。すなわち (285281, 285283, 285287, 285289) は 281, 283, 285, 287, 289 を文字列として連結することで作ることができる。#19の出発点となった 2426256797 は10要素のベクトルの先頭要素だが、24, 25, 26 を含んでいる(そのような最小例ではない)。もっと小さい規模の組み合わせで同じようなことを考え、4要素のベクトルに行き着いた。「1より大きい連続奇数」の「1より大きい」を外すと、一桁の奇数を並べた形のトリビアルな例が見つかる。

#22 と #23 の間で、リベラからメールが来た。#6 を一般化した問題の大きい解だった。お礼として、2426256797 の「間違い」を簡単に検出できる3行の Pari コードを返信。ホイールシーブの一種(追記)。

f(P) = q=P; for( k=0, 9, q+=2*k; if(!isprime(q),return) ); print(P);
g(n) = f(n+11); f(n+17); f(n+41); f(n+101); f(n+137); f(n+167);
forstep( n=0, 3e9, 210, g(n) );

2019-07-17 西暦1年1月1日から2000年12月31日までの日数は?

第1・第2千年紀は、合計何日あったのだろう?

天文計算や暦の計算をする人なら、この二つの日付のユリウス日(JD)を考えたことがあるだろう。1582年の改暦前のユリウス暦を単純にさかのぼれると仮定すると、西暦1年1月1日正午は JD 1721424、一方、グレゴリオ暦2001年1月1日正午は JD 2451911 なので、この2000年間は730487日

次のように考えると、上記は簡単に暗算可能。純粋ユリウス暦なら2000年間は、365.25×2000 = 730500日。それに比べ、グレゴリオ暦では1582年の改暦で日付が10個飛ばされ、1700年・1800年・1900年の2月29日もないので、トータルで13個、日付が少ない。730500から13を引けば、730487。計算は単純だが、数学だけでは解けない(1582年に10日間がドロップされたという史実に依存)。純粋なグレゴリオ暦なら2000年間は730485日(400年につき3日少ないので、計15日少ない)。従って、グレゴリオ暦をさかのぼった西暦1年1月1日はユリウス暦の1月3日、逆にユリウス暦の1年1月1日はグレゴリオ暦の0年(いわゆる紀元前1年)12月30日。「暦の違いで、この時期の日付は2日ずれること」も、天文計算者なら経験済みかもしれない。

で、何が面白いかといえば、730487は素数ということ。2000年間においては、1年の平均日数が2000倍される。400年周期のグレゴリオ暦なら、400年間の日数が5倍される。結果は合成数になって当然だが、改暦のときのギャップによって、思いがけない現象が起きた。逆に、2000年間の日数が素数になるとしたら、必ずこの 730487 になる(1年の平均日数が365.24以上、365.26以下というような条件が付くが、回帰年についての現実の値を考えると、まともな太陽暦は必ずこの条件を満たす)。

2019-07-18 西暦1年1月1日(その2)

昨日の計算では「ユリウス暦を普通にさかのぼれる」と仮定した。実際、西暦8年ごろまでは、さかのぼった結果は、歴史上の日付と一致するらしい。それより前の約50年間は複雑。紀元前50年ごろ、ユリウス暦が導入された直後、ローマでは暦の運用を誤り、4年に1回のはずの「うるう年」を3年に1回入れていたという。間違いの詳細については断片的史料しかなく、結論が出ていない。

うるう年を入れ過ぎれば、当然、カレンダー上の日付進行がもたつく。結果、最大約3日の遅れが生じ、理論上の正しいユリウス暦(以下J)の−8年(=紀元前9年)3月4日が、現実のローマでは「3月1日」だった可能性がある。その後、カレンダーを早送りしてJに追い付くため、臨時に平年ばかりを連続させ、−4年3月3日Jがローマの「3月1日」、0年3月2日Jがローマの「3月1日」、4年3月1日には史実の日付がJと一致、それ以降は普通にうるう年が挿入され、正しく運用されてた…というのが一つの説。別の説では、0年3月1日以降、史実=J。

(I) 後者の説だと、歴史上の「1年1月1日」は実際に1年1月1日J・土曜日、史実の2000年間は730487日。

(II) 前者の説だと、歴史上の「1年1月1日」は1年1月2日J・日曜日、史実の2000年間は730486日。

(III) 参考として、グレゴリオ暦をさかのぼった「1年1月1日」は1年1月3日J・月曜日、2000年間は730485日(グレゴリオ暦では400年ごとに曜日が循環するので、2001年1月1日と同じ曜日)。

現実の歴史では、1582年より前にグレゴリオ暦は使われていない。史実は恐らく (I) か (II)。

2019-07-24 5分で覚える! グレゴリオ/ユリウス暦・日付変換暗算法

簡単。意外と役立つ。「シェイクスピアの命日4月23日は今の暦で何月何日?」みたいな場面で。

「グレゴリオ暦(以下G)は、ユリウス暦(以下J)に比べ、400年につき3回、2月29日が少ない」ことはご存じでしょう(知らなかった方はこの機会に確認を)。

つまりGはJより400年につき3日短く、短いのだから日付進行が速い。例=2000年1月1日Jが「1月14日G」とすれば、2400年1月1日Jは「1月17日G」(← 400年前と比べ、日付が3日分「未来」)。

問題は「いつ何日ずれるか」。具体的な「ずれ日数」。何種類か覚え方があって、どれか一つで間に合うので、気に入ったのをどうぞ↓

  1. グレゴリオ暦への改暦(1582)のとき、日付が10日飛んだ。1582年10月4日の夜に寝て、起きたら10月15日になってた! なにそれ、まじ?! タイムスリップ?! この話は1度聞いたら絶対忘れないよね。細かい日付はさておき、ポイントは、1600年ごろ日付が10日飛んだ。だからそれ以降、同じ日の日付がG世界では「10日未来」(1600年1月1日J=1月11日G)。
  2. もう一つの覚え方=2000年に差が13日(2000年1月1日J=1月14日G)。改暦の直接の理由は、キリスト教の復活祭絡み=不吉な「13日の金曜日」と関係あり。改暦した人はグレゴリオ13世。13がキーワード!

あとは「400年につき3日ずれる」という事実と組み合わせれば、2400年のずれは16日、2800年のずれは19日、3200年のずれは22日。逆方向に、1600年のずれは10日、1200年のずれは7日、800年のずれは3日、400年のずれは1日、0年のずれはマイナス2日。ずれがマイナスってことは、逆にJの方が「未来」。例=西暦1年1月1日Jは、0年(つまり紀元前1年)12月30日G。

最後の仕上げ。ずれの原因「2月29日の有無の違い」は、「400の倍数以外の」100の倍数の年に発生。だから上記を基準に直前の400の倍数の年を考え、100年ごとに1日足す方向で。例=1701、1801、1901年のずれは、それぞれ11、12、13日。2101、2201、2301年のずれは、それぞれ14、15、16日。暗記しなくても、順を追って考えればすんなり。

例題 ロシアの文豪ドストエフスキーの誕生日は、当時のロシアの暦(J)で1821年10月30日。Gに換算すると何月何日?

換算法 1600年のずれ10を基準に。18xx年のGは12日「未来」。10月30日の12日「未来」=指折り数えれば11月11日。意外と簡単でしょ?

NOTE: 式で書くと、10月30日 + 12 = 10月31日 + 11 = 11月11日。簡略に、10月30日 + 12 = 10月42日 = 11月11日(10月は31日までなので、1繰り上がって余り11日)。

練習問題 シェイクスピアは、当時の英国の暦(J)の1616年4月23日に亡くなりました。(1) グレゴリオ暦では何月何日でしょう。 (2) 来年「ユリウス暦のシェイクスピアの命日」に記念イベントを開くとしたら、現在の暦(G)の何月何日? (答え合わせはタイトル・テキストで →

(補足) 厳密に理解したい方へ。実用上、普通そこまで考える必要ないけど、ずれが拡大するのは「Jにある2月29日が、Gにないとき」。400の倍数以外のxx00年1・2月Gは前年のずれのまま。上記の暗算法を単純に使うと、まれに(400年につき2カ月×3回)、計算が合わない期間が生じる。解決法=この手の計算では「1年は3月1日に始まり、2月末日に終わる」と解釈するのが定石。例=1900年1・2月は1899年と「同じ年」。

動画・オーディオ・字幕

2019-05-24 aoTuV 信者なのに 訳あって qaac を試すことに…。iTunes をインストールしないでエンコーダーだけ使う方法について、「[Avisynth] qaacの導入」という日本語の記事が直線的で分かりやすかった(icudt49.dll がバージョンアップしている)。別の場所ではバッチファイルも配布されているが…。

なぜ AAC より Vorbis を好むか。

客観的理由。統計の数値上では、低レートでは AAC が Vorbis よりわずかに良いとされる。しかし、実際に試すとすぐ分かるが、そこそこのレートがあれば、どちらも ABX できない(=人間の耳にとっては、事実上どちらでも同じ)。だったら権利関係ゴチャゴチャより、自由でオープンな方が気分がいい。ダウンロード・解凍するだけですぐ使える oggenc が…。数学的な意味での高品質が欲しければ WV の非可逆があるし、「完全」な音質が欲しければ WV の可逆や FLAC など。だから、高レートの AAC には「それでなければ」という必然性がない。低レートなら確かに AAC は選択肢の一つだが、どのみち映像のレートがざっと1000を超えるオーダーなのに、音声のレートを10や20削って(そして音をひずませて)何がしたいのか。不合理。

主観的理由。MKV/MP4 の前の OGM の時代からいろいろ試してきたので、Vorbis には愛着がある。「MP3音声のAVI」の時代に「Vorbis音声のOGM」を布教したこともあるし、MKV が誕生したときの公式サンプルも Vorbis 音声で作った。加えて、aoTuV には「日本の技術」という面もある。

AAC が「嫌い」なわけではなく、PsyTEL 時代に始まって Nero も Apple も使ってはいるが、肥大化した今の iTunes をインストールするのはさすがに気が重い。インストールするなら LAN ケーブルを抜いてからだな…。それか VM 上にインストールするか…。とまじで考えてたので、上記「豆知識」はありがたかった。

肯定的な面として、qaac には、エンコーダー・ディレイを(ほぼ)打ち消してくれる(らしい)オプションがある(lame -t のアグレッシブ・バージョンみたいな)。ディレイについては入力時点でサンプル単位で削るのが最善かもしれないが、動画の音ズレ問題を考えてくれてる、というだけでもうれしい。上記のように「通常の用途では実質同じ」なので、Vorbis から AAC に乗り換える気はないけど、逆に AAC派の人が Vorbis に乗り換える必要もないかと。

2019-05-26 qaac の音ズレ対策 MP4動画の音声として使う場合、デフォルトでは、実測で約2112サンプルの音ズレが発生(48000 Hz)。--no-delay スイッチは、これを回避してくれる。このオプションの効果は、音声のエンコード前にWAV冒頭を 2112 サンプル削るのと同じ(MP3 で 1105 サンプル削るハックと似ている)。ただし、--no-delay でも冒頭削りでも、テスト・サンプルでは音声全体が 896 サンプル長くなった(動画では全く実害ないが、どうしても sample-accurate にしたければ、エンコード前に増加分だけ末尾のサンプルを削ればいい)

テスト設定は qaac --tvbr 91 で入力は16ビットWAV。

知らずにデフォ設定で AAC エンコして、ディレイを発生させてしまってる人もいるだろうが、それほど実害ないのでご安心を…。2112 サンプルは44 msで、確かに 24 fps の映像と1フレームずれるし、MP3 で起きる 1105サンプルの音ズレより(相対的には)被害が大きい。けれど、人間の音声タイミング認識はそこまで厳密ではなく、普通に娯楽で楽しむ動画では、ほとんど分からない程度の差。「スピーカーと耳の距離が3~4メートルあるだけで、光速・音速の差のせいで、どうせ10 msオーダーの音ズレが起きる」ことを思い出そう!

とはいえ、もちろん A/V がずれない方がいい。特に lame のデフォ設定(-t なし)は、動画用ではお勧めできない。qaac の場合、調子に乗って --no-smart-padding スイッチも付けると --no-delay の効果がなくなるようだ。「音声だけ」を考えるなら --gapless-mode 1 も一定の効果を持つが「動画の音声」としては、効果がプレーヤー依存になり、かえって逆方向に音ズレする可能性もありそう。普通の設定プラス --no-delay が簡便で効果的かと。冒頭に無音がなく、いきなり爆音から始まる動画の場合は、別の手を考える必要がある。

注: AAC音声/MP4動画をお勧めしてるわけではない。筆者は Vorbis/MKV派。

1フレーム差の実害が小さいというのは「映像/音声のズレ」の話。「映像/字幕のズレ」が1フレームあるのは、絶対に許されない(はっきり視認でき、はっきり汚い)。では「音声/字幕」のズレは? 音が 50 ms(0.05秒)遅れた場合、カラオケでは「字幕の色変化が(歌に対して相対的に)少し早くなる」のが視認できるが、カラオケ字幕は早めに変わってちょうどいいくらいなので、エンドユーザー視点では案外どうでもいい違いだったりする。V/S のズレは厳しいが、A/V、A/S のズレは比較的許容度が高い(字幕が出るタイミングは、むしろ声が始まるタイミングより早めなのが正しい)。

2019-06-19 MP4: foobar2000のタギングの問題点と解決法 foobar2000 や Mp3tag (以下fb2k)を使ってMP4ファイル(オーディオまたは動画)にタグを付けるのは簡単便利だが、これらのツールは同じタグを2カ所に書き込む(恐らく互換性のために、あえて)。5000 KBのMP4ファイルに300 KBのカバーアート(画像)を付けたとすると、5300 ではなく5600 KBになってしまう! そればかりか、mp4box を信じるなら、このタギング方式は ISO 非互換。iTunes 標準の moov.udta.meta はいいのだが、moov.udta.tags の方は「一部のプレーヤーが勝手に使っている独自拡張」らしい。

このような fb2k タイプのMP4ファイルをクリーンにする方法を発見した。上記の例でいうと、音質(画質)には影響なく、標準のタグもカバーアートも保ったままで、ファイルを300 KB小さくできる!

原理としては、不要な moov.udta.tags 全体をバイナリーで除去、除去されるバイト数を x として、moov と moov.udta のサイズフィールドの値(32ビット)をそれぞれ x だけ小さくする(書き換え1)。全トラックについて、stco ボックスの全エントリーも x だけ小さくする必要がある(書き換え2)。手動でやるとすれば、バイナリーエディターで tags の4文字を探す。その前の4バイトが x。とりあえず tags の4文字を free と上書きし、書き換え1(4バイトが2カ所だけなので手動でも実行可能)の後、fb2k の「ファイルサイズを最小化するツール」を使うと、free ボックスの除去&書き換え2をやってくれる。全部まとめて自動でやるツールを試作したが、まだ公開できる段階ではない。Apple の定義にないカスタムタグについては、別途考える必要がある。

2019-09-11 伝説の(?)「キーボードクラッシャー最初の字幕版」はこうして生まれた 「みんなきてKOIKOI」「爆裂!カップメン」のKOI2さんが、2006年3月17日の日記で「心が壊れるくらいに笑ってしまった。いったい何にここまで興奮している」…「誰か翻訳をぜひ!」と、元の動画(2006年2月15日にエンコードされている)を紹介。

KOI2さんのファンだった筆者は、さっそく仲間に動画を見せた。ドイツ語圏のメンバーも大笑いし、自分から「これに字幕を付けよう」と言い出した。英語、日本語、繁体字中国語(台湾)の順で字幕が作成され、ほぼ同時公開(音声を書き起こしたドイツ語版字幕も作成しているが、これは公開していない)。日本語・中国語版は自鯖で配布した。日本語版は微妙に違うバージョンがあり「Escapeキー」を「Escapeたん」と呼ぶバージョンがファイナルらしい。ファイルのタイムスタンプを見ると、初期型が2006年3月24日、「Escapeたん」バージョンは25日。3月17日の日記をその頃読んで、速攻で作った。10年以上前なので細かいことは覚えてないが、KOI2さんのリクエストで遊びとして作られ、それを誰かが動画サイトに転載して、それがまた転載されたりして、今に至る(らしい)。

「キーボードクラッシャー」のキャラ&あの動画が有名なことは知ってたが、あのとき自分たちが作った字幕部分も日本語圏では結構有名…ってのは実は知らなかった。「アンリアルゲーマー」という呼び方自体、ここであれを配布したときのファイル名 unreal_gamer.avi の名残らしい。まあ、原作本体が面白いからこそ、コバンザメ的に字幕も有名になっただけでしょう。

画像: ピンクの字幕「ロードってむかつくよな」

あの迫真の演技について今さら語ることはないが、Escapeキーのネタはアドリブなのだろうか。大ざっぱな流れは当然決まっていたのだろうが、脚本があったとして、特定のキーキャップが脚本通りに外れるように演技できるものなのか…。アドリブで「おれには サポセンなんて いらねえんだ」「一人で解決できるからな」の名せりふを言ったのなら、すげえ才能…。どっちにしても、既にすげえ演出だったけど(笑)。だけど今思うと…。「明らかに狂ってる」という設定のキャラが「おれは手助けなんて必要としていない。おれは大丈夫、何も問題ない、うひゃひゃひゃ」と狂った調子で言う…そのアイロニーがうまく訳せてない。あと「Escapeキー」より「Escキー」の方が自然だったかも。最大の欠陥は、もともと音声がモノラルだったのを(多分)オーディオエディターで適当に疑似ステレオ化したこと。何でこんなことしたのか覚えてないが、これは大失敗だった(音源が動く感じがして気持ち悪い)。

字幕のスタイルは質素だが、当時使ったスクリプトを確認してみると、最後のフェイドアウトで「速度差シャドウ」が使われている。コピーを繰り返し劣化しまくっている現存バージョンでは、フェイドの微妙な違いなんて分からないだろうけど、これはその時点では最先端の技。実験精神が旺盛だった時期なので、ついオーディオもいじってしまったんだろう。

2019-10-19 MKV「新仕様」問題を3行でまとめると

字幕を作らない・使わない人には関係ない(詳細)。

漫画・アニメ

2019-04-01 内容がなくても面白い ウテナ関連のものを取り寄せようとしたら、エッチなものと誤解されたらしく、税関で止められてしまった。

全体としては中身のないチープな作品だけど(悪く言えばベルばらの劣化コピー)、好きな部分も多かった…。「時に愛は」のダンスシーン、超きれい。影絵少女の声、好きだった。アンシーとか紫亜ちゃんみたいな陰性タイプに萌え。

内容が充実してる方がいいのは当然として、内容・意味がなくても形式そのものが面白い、ってパターンもあるよね。

2019-04-04 ↑ 形式だけで内容が希薄なので「お金を払ってまで全部見る価値がある」とはいえない。形式が面白いところだけ見れば、足りてしまう。それ以外は退屈とさえいえる。

2019-04-05 ベルばら あの原作なら、誰が料理しても名作になる。素材の上で、あぐらをかいてるだけでも楽勝。そこにさらに出﨑統(おさむ)。妹が飛び降りるときの噴水の使い方、少女目線(?)の下から大人の顔を見上げるような不安げなカメラアングル…。「ただの背景の小物だよ~」「別に技法自体を見せたいわけじゃないんだよ~」的なさりげない演出が鬼。

パチ物のウテナは「駄菓子のような素材で、あの創作料理を作った」んだから「料理自体の腕はむしろ上」といえるのでは(笑)。「安い駄菓子にほれ込める、良い意味でのばか」にしかできない料理法だと。「本物のシェフは駄菓子を使ってフランス料理を作れる!」いやいや、そんな仕事、断るのが本物(笑)。でも仕事を選べない大人の事情。だったらこれでやってやる…。ベルばらの噴水が「秘すれば花」なら、ウテナの洗車マシーンは「好き勝手絶頂」。

2019-04-17 光念白射 ウィキペディア(2016年2月~)では「光熱白射」※。「日刊リウイチ」(裏日本工業新聞)の記事(2002年8月15日)では「光念白射」。「5ちゃんねる」の2003年6月の書き込み(#309)でも「光念白射」。原作にないので公式設定未詳。

アニメの初回放送(2002年7月)のとき、このせりふを聞き取れず、音声うpして助けを求めた(「俺ニュース」が情報募集の件、広報してくれた)。いろんな人が聴いてくれて、その日のうちに「光念白射(こうねんはくしゃ)と言ってるみたいです」って情報が寄せられた。ありがとう、あのときのみんな…。

あの頃のウェブは、今思うと変だったけど、面白かった。大きな中心(プラットフォーム)がなくて、全体が熱かった。福島原発の職員が原発ネタのものすごいブラックジョーク書いたり(今では絶対あり得ない=当時でもハッピーエンドにはならなかった)。「岡田あーみん・平野耕太」並みにリスペクトしてた。霧巫女といえば「巫女麺」「シスター麺」なんてのもあったなぁ…。約20年後の今、コンピューターの性能は1億倍になったかもしれないが、ネットの大部分は損得・自己顕示を中心とするぬるいグールになってしまった。時代の変化だから仕方ないけど、あの頃を体験できて幸せだった。今の一部の企業はネット全体での影響力を誇示してるらしい。けど、その本質は「ティッシュ配布・ポスティング業者」。何かを生み出してるわけでもなさそう…。

くだんのアニメは、ぶっちゃけ面白くなかった(笑)。原作派からも、めちゃ不評だったっぽい。それでも仲間内で、遊びのネタにしてた。のんきな時代。旧作鑑賞会やったり。何でも効率優先じゃなく。秒単位でトラッキングされて、チカチカする広告見せられるんじゃなく。役立たないこと・くだらないことをのんびりできるってのが、ホントの豊かさ。「跡を残したい」なんて考えもせず。プチプチつぶしをする人が自分の指先だけに集中して、プチプチつぶして何の得になるかなんて、気にしないみたいに…

※ 中国語圏でも「光热白射」だが、単に日本語ウィキペを訳したっぽい。韓国語圏では一応 광념백사 (光念白射)。英語吹き替えは White light beam, activate! (白光ビーム発射!)=「念」か「熱」かは判断不能。

2019-05-17 イタリアでの「ジーグ」人気 1980年代のイタリアで「鋼鉄ジーグ」は人気が高かった。ローマ近郊にはジーグの壁画まである(画像中の SOLO の文字は壁画の作者名)

イタリア版のOPは、日本語版と同じメロディーにイタリア語の歌詞を付けたもので、水木一郎本人がイタリア語版の一部を歌ったこともあって、たまげた。今でも合体シーンを見ると涙が出る。…と、イタリアのマニアが熱く語ってくれた。

何でこんな話になったかというと、昔の歌は熱かったらしい(日本ブレイク工業からの連想)ということと、イタリアのアニソンは同じ歌手(クリスティーナ・ダベナ)ばかりで食傷気味かな、ということから…。さすがに初期のロボットアニメは、D'Avena ではなく男性がテーマソングを歌ったらしい。イタリアのマニア視点だと、D'Avena はそんなに悪くはないけれど、あまり好かれてもいない。「自分の歌」ではなく Alessandra Valeri Manera(アニオタから見ると悪の権化)の作詞で「道具として使われているだけ」とのこと。イタリアに限らないが、作品がオリジナルのままではなく、いろいろ編集されているところから、制作側への反感が生じている。


Mediaset 社では、チャンネル5(Canale 5)でアニメを放送するとき、かなりの編集(修正・検閲)を加えた。ノーカット・オリジナルが見たいファンにとって、これはうれしくないことだった。そして Manera は、この編集の責任者とされることがある。個人的価値観から恣意的に改変したのか、修正せざるを得ない事情があったのかは不明。

イタリアで空モモが初放送されたときは Il magico mondo di Gigì というタイトルで、これは Mediaset によるものではなく、別のOP/EDが付いている(フランス版モモに基づくらしい)。Mediaset は後にこの作品の放送権を取得、Benvenuta Gigì として再放送。主題歌はクリスティーナのものに差し替えられた。Mediaset はさらに、Tanto tempo fa… Gigì と題して、海モモを放送した(歌はクリスティーナ)。すなわち「モモ」を「ジジ」に変えた犯人は Mediaset ではない。各国どの局も、多かれ少なかれ、日本のアニメを編集して放送していたらしい。Mediaset のしたことは、必ずしも特別なことではなかった。

クリスティーナ自身が嫌われているわけでもない。上記のような批判をする人でも、パステルユーミ(Sandy dai mille colori)の主題歌は好きだったという。


ブレイク工業の Da Da Da は「ジーグ」の「ダンダダ・ダダン…」に触発されたものだったのだろうか。「おれは涙を流さない ダダッダー」(グレートマジンガー)に近い感じもするが、昔のロボット物はよく分からない。だけど、旧作の中には「大昔のお子様向けなんて…」と侮れないものもある。例えば、ファースト・ガンダム(シリーズ第1作。シリーズ全体という意味ではない)=時々ある深いテーマやリアリズムに驚く(視聴者の子どもを子ども扱いしていない)。ガッチャマン=「死体がゴロリと転がっている」のでびびる(昔の表現の自由さに)。イタリア人が涙を流すジーグも、機会があったら見てみたい。

2019-05-18 「ジーグ」OPイタリア版・逆翻訳 イタリア版(リスト中段: Corri ragazzo...)では、オリジナル(リスト上段)と同じメロディーに独自の歌詞が付けられている。お遊びとして、それを日本語に逆翻訳(リスト下段)。

  1. おれが やめたら バンババン
    だれが やるのか バンババン
    いまにみていろハニワ幻人 全滅だ
  2. Corri ragazzo laggiù,
    vola tra lampi di blu.
    Corri in aiuto di tutta la gente dell'umanità.
  3. あおい いなずま <バンババン>
    くぐり そら飛び <バンババン>
    走れ勇士よ 地球人類 防衛だ
  1. 走れ バンバンババン
    走れ バンバンババン
    ビッグシューター 風よりはやい
  2. Corri e va, per la terra.
    Vola e va, tra le stelle.
    Tu che puoi diventare Jeeg...
  3. 走れ 【大地を】
    翔ろ 【星空】
    君はジーグに なれるのだから…
  1. ビルドアップ バンバンバンバン
    ビルドアップ バンバンバンバン
    バラバラババンバン
    ババンババンバンバンバンババンバン
  2. Jeeg va, cuore e acciaio.
    Jeeg va, cuore e acciaio.
    Cuore di un ragazzo che
    senza paura sempre lotterà.
  3. ジーグだ! 【心と…】
    ジーグだ! 【…鋼鉄】
    【わかき心が】
    【おそれしらずに たたかう】
  1. 腕が とびだす ババンバン
    足が とびだす ババンバン
    磁石のいりょくだ 鋼鉄ジーグ
  2. Se dalla terra nascerà,
    la forza che ci attaccherà,
    noi restiamo tutti con te, perché tu, tu sei Jeeg!
  3. 地底の敵から <ババンバン>
    世界をまもれ <ババンバン>
    われらのヒーロー 君は… 君はジーグ!

(注) 太いかっこ【】の部分は、オリジナル日本版では「バンバン」などの掛け声だが、イタリア版では普通に歌詞がある。不等号<>の部分の合いの手は、イタリア版では歌詞がない。イタリア版のOPは2番まであるが、ここでは1番の概要を紹介した。歌しか知らない(作品自体を見てない)ので、内容的にニュアンスがおかしい部分があるかも。

(直訳版)
走れ、少年/青年よ、下方へ/向こうへ。
飛べ、青の稲妻/閃光(複数)の間を。
走れ、人類全員の助けとして。

走れ、そして行け。地上を。
飛べ、そして行け。星々の間を。
ジーグになることができる君よ!

ジーグが行く/ジーグよ行け。心と鋼鉄。
ジーグが行く/ジーグよ行け。心と鋼鉄。
心…少年/青年の ← 彼は/それは
恐れることなく、常に戦うだろう。

もし地面から立ち上がるなら
…我々を攻撃しようとする力が。
我々は皆、君と共にいる(君を応援する)。
なぜなら君は…君がジーグだから!

2019-05-19 イタリア版「ジーグ」OPトリビア 日本版オリジナルと同じ曲 + 別の歌詞だが、伴奏も少し違う。イントロ・間奏の「ダンダダ・ダダン…」のコーラスがなくなった代わり、ミニモーグ(小型シンセサイザー=画像)のリフが挿入され、楽器が1個増えてる。日本版と同じリズミカルな伴奏の上に「ウィーーン、テュロルロ」とシンセの単音が絡む(ミニモーグは同時に2音を出せないらしい)。

ミニモーグの画像(Jpeg)

2019-05-20 ロベルト・フォグ 「原始少年リュウ」「鋼鉄ジーグ」の2作品で、日本版OPのメロディーが、そのままイタリアでも使われたという。どちらもオリジナルの歌手は水木一郎、イタリア版の歌手は Roberto Fogu(愛称 Fogus)。フォグは、1990年代に若くして亡くなった。

画像(Jpeg)
http://www.sigletv.net/special_fogus_index.php

ダベナの時代には、イタリア版専用OP(曲も歌詞も新作)が普通になった。「イタリア独自のOPを作る=もともとの日本版OPが見られない」ことの是非は、個人的な好みの問題だろう。

ポケモン・アニメに描かれた「おにぎり」が、吹き替えでは同じ絵のまま「ドーナツ」や「サンドイッチ」になったり、あるいは食べ物の絵が描き変えられたり…。そういう「文化レベルでの翻訳」みたいなことは、たとえ善意の工夫でも、ファンの間では人気が悪いらしい。とはいえ、OPを日本語のままにしないでイタリア語に置き換えたいのなら、新しい歌詞に合うようにメロディーも新しく作った方がいいような気がする(一般論として)。

そのイタリアのファンは「ジーグに関しては、イタリア版OPの方が好き」という。「それを見て育ったので懐かしいから」そして「イタリア語の歌詞は良くできているし、意味のないバンバン・バンバンを繰り返す日本語版より内容が濃いから」だと。この最後の点については、必ずしも同意しかねるが(笑)。

2019-05-21 イタリア版「ジーグ」OPトリビア(その2) 「ふたすじの青い稲妻の間を飛び抜けて」というのは、鮮烈で格好いいイメージだし、荒々しい闘志を感じさせるが、言葉の意味だけ考えるとやや唐突。なぜここで稲妻の色を描写するのか。青は(詩的表現の範囲とはいえ)稲妻の色として、それほど自然な描写でもない。…この疑問は、言葉の響きを考えると氷解する。1行目の laggiù と語調を合わせて lampi di blu としたのだろう。

日本版は「敵民族を全滅だ!」とジェノサイド宣言。イタリア版は「人類全員を守れ!」と逆方向から表現。いくら「敵」でも全滅させていいかというと…敵側にだって民間人もいるかもしれないし、略奪婚で拉致された人もいるかもしれないし…。ファースト・ガンダムで連邦側民間人に親切なジオン兵とか、セラムンの「なるちゃん」とネフライトの関係とか…ああいうパターンに心動かされる。イデオンとか、もののけとか…どっちが正義・どっちが悪と割り切れないのが、リアリズムじゃね? 悪いやつらだから全滅させちまえ、ってのは、やっぱ平板で嫌だな。「全滅だ!」は言葉のあやで、そこまで端的に言い切る力強さも魅力的だが、深みの点ではイタリア版に一本取られたかも…。


「すまない…チョコレートパフェ…食べられそうもない」

2019-05-22 イタリア版「ジーグ」OPトリビア(その3) 日本版の歌は、歌手(水木)の声、男声バックコーラス、児童合唱の3要素から成る。「バンバン」などの掛け声について、水木自身も歌う部分はイタリア版でも歌詞があり、それ以外(バックコーラスのみ)はイタリア版では歌詞がない。一貫してそうなってるようだ。

邪魔大王国は、作中では「じゃまたいおうこく」だが、水木の歌では「じゃまだいおうこく」、歌詞テロップは「じゃまたいおうごく」と3通りに不統一。悪の本拠地が「邪魔だい」なら「ドツクゾーン」並みに「まんま」。異次元技術を持つ古代超文明を滅ぼしていいのだろうか…。こいつらが日本を支配すれば、むしろ諸問題が解決するのでは(笑)。現実的にも、古代文明の方が先住民族で、こっちが侵略者…


OPのルビ「おうごく」。イタリア版DVD字幕 Regno Jamatai

2019-05-29 イタリア版「ジーグ」OPトリビア(その4) 既述のように日本と同じメロディーだが(歌詞はイタリア語)、歌のテンポが約4%速い。日本のアニメは基本 24 fps(正確には 24000/1001 fps、テレビ放送等では約 30 fps に変換されている)。イタリアの規格では 25 fps なので、1秒間につき1フレーム多く、その割合で全てが「早送り」される。コンテンツの長さが (24000/1001) / 25 = 約 95.9% の時間に圧縮。

実測によると「おれ」の「お」が出る瞬間から「全滅だ」の「だ」が出る瞬間まで、日本版は約9.9秒。対して、「Corri」の「Cor」が出る瞬間から「dell'umanità」の「tà」が出る瞬間まで、イタリア版は約9.3~9.4秒。94~95%に圧縮されてる。多分昔のアナログ録音なので、アナログ的誤差(テープの伸び縮み?)もあるし、歌手の違いによる節回しの差も考慮すると、実測値94~95%は理論値95.9%と、よく一致しているといえるかと。

イタリア版DVDの別トラックに収録されている日本語音声も、ほぼ同じ割合でテンポが少し速いようだ。ビデオが 25 fps なので、そうするしかないのだろう。同一フレームの反復が多い旧作アニメでは、24フレームにつき1フレームを水増しすることは難しくないはずだが、映像側を水増しするのではなく、音声側をスピード・アップして同期を保ってる。とはいえ、日本版は10秒に240フレームなのに、こっちは10秒につき250フレーム必要なので、時間稼ぎの「水増し」フレーム(意味のない静止画など)が挿入されてるパターンもあるっぽい。

2019-05-30 イタリア版「ジーグ」OPトリビア(その5) というわけで、イタリア版を聴いてから続けてOSTを聴くと、調律がずれるというか、四半音~半音くらい下に移調した感じ(イタリア側のピッチが高過ぎ)。違いは伴奏・テンポ(ピッチ)・歌詞だけでなく、アニメOPとしてみると、イタリア版には「バイクの走行音・ジャンプや攻撃や爆発や合体の効果音」が入ってない。音声データ(歌と効果音)が1チャンネルだけで、映像+効果音+イタリア版の歌というリミックスが不可能だったのだろう。イタリアのマニアには悪いけど、合体の瞬間に「ガシャーン!」と音がしないのは、気の抜けたソーダ。ミニローグの電子音追加で、少しでも何とかしたかったのだろうが、とてもオリジナルには及ばない。

歌詞に関しては「れが…」→「ッリ・ラ…」、「全滅!」→「デルマニ!」と音の感じやアクセントの位置まで合わせてある。芸が細かい。

それでふと気付いたけど、ハイジの「教えて~おじい~さん」と瓶詰妖精の「教えてせんせ~いさん」は相互に交換可能だね(無関係)。

肝心の物語、とりあえず最初の数話を見た。初めの方は普通っぽいが、だんだん面白くなるのかな? 50話くらいある昔のアニメなんで、気長に…。不気味な地下の洞窟みたいなところに悪の女王(大ボス)がいて、幹部数名を従えて、毎回「今週の怪物」を送り込む、おなじみのパターン。しかも女王の前には、世間をモニターできる水晶玉みたいなもんが…。今にも部下が「ヒミカ様!」でなく「クイン・ベリル様!」って言いそう(笑)。

2019-05-31 イタリア版「ジーグ」OPトリビア(その6) 「その6」といっても、チラ裏はログを残してないので話がつながらないが、ここまでのあらすじ → 「イタリアのマニアの影響でジーグを見始めた」「イタリア版は25 fpsなので、24 fpsのオリジナルより動画の再生速度が速い」 ← 聴き比べると音のピッチも高い。もちろんオリジナルの日本語音声で見てるが、このバージョン、日本語音声もピッチが高いっぽい。

フォグ版の歌詞は、ちょっと格好いい。「心と鋼鉄」という簡潔なフレーズに「サイボーグの自意識・実存」という深遠なテーマが暗示されてる? 水木のオリジナルは有名だけど、水木自身がフォグ版(イタリア語の歌詞)の最初の部分を歌った録音もある!(超レア?)

イタリア人は「バンバンバンバン」とかの掛け声をあまり評価してないが、OP全体としてみると、映像側の爆発音・合体の効果音などを引き立たせるために「歌詞の一部を打楽器的伴奏として、わざと後景にしている」。これは単純に見えて巧妙。

2019-06-02 銅鐸(どうたく)は「さなぎ」じゃないぞ!? リアルの考古学では「銅鐸」って何のためのアイテムだったのか、結論が出てないらしい。イタリア版では「ブロンズの鐘」。イタリアのちびっ子たちは「そんな鐘、どこの教会にもあるじゃん。金や銀ならともかく、何でそんなありふれた物を奪い合って争ってるんだろ?」と疑問に思いつつ、それでもジーグ格好いいと思って、夢中になって見てたという。

一部の翻訳(イタリア版ではない)では、銅鐸がなぜか「さなぎ」と訳されてる。めちゃくちゃな誤訳だが、好意的に解釈すれば「(主人公の体の中で or 土の中で)眠っているアイテム」を詩的に「さなぎ」としたのかもしれない…。そういえばイニDの北米版では「板金」が変な翻訳になってたが「銅鐸」は「板金」よりさらに分かりにくそう。翻訳者泣かせ…

OP冒頭から、ノーヘルでバイク飛ばせる70年代はいいね…。90年代の少女漫画系OPでは「自転車二人乗り(後ろが立ち乗り)」ってだけで「子どもがまねしたら困る!」と修正を迫られた例があった。プラスに考えれば、20年間で、それだけアニメの地位(影響力)が高まったということかも?

画像(Jpeg) ← バイク・ノーヘル二人乗り(1970年代)=無問題

画像(Jpeg) ← 自転車二人乗り(1990年代・アニメ)=撤回・差し替え処置。場所のモデルは多摩川の関戸橋・当時の上流側、歩道部分?

画像(Jpeg) ← 自転車二人乗り(1990年代・漫画)=同じ乗り方。無問題。読み返すと、漫画版は意外とバイクもノーヘル。

画像(Jpeg) ← アニメ版(2006年)

2019-06-09 バイク運転手のヘルメット着用 ジーグ18話まで来たら、ヘルメットの描写が…。

画像(Jpeg)

実はこれ、雨のシーン。雨の中で水に濡れる髪を描くのが面倒なので、便宜上ヘルメットを着用させた?

画像(Jpeg) ← 雨でなければ女の子もノーヘル

「自分はただの機械なのか?」みたいなことで苦悩する主人公・宙(ひろし)には、ほんのり、最初の攻殻のようなフレーバーがある(宙パパもマシン内の仮想存在)。綾波は「自分がエヴァに乗るのは、絆だから」みたいなことを言っていたが、こっちの主人公も「自分がジーグになって闘うのは、それが唯一の絆だから」っぽいことを言う。

画期的といわれるファースト・ガンダムも、突然生まれたわけではなく「準備されていたんだな」と。ガンダムは「人間と人間の戦争を描いた」わけだが、ジーグもある意味そう。悪のボスのヒミカは「自分たちは普通に平和に暮らしていたのに、突然、侵略されて滅ぼされた被害者だ」という事実関係を明言する。敵=とにかく悪い、という幼稚な構図ではなく、敵側の怪物なのに人間側に同情するキャラも登場。ジオンほどではないにせよ、敵側にも少し奥行きがある。

アムロは戦闘を放棄して脱走するが、こっちの主人公もモチベーションを失い出撃しない場面があった。ヒーローが鬱になるのは、ガンダムの発明じゃないらしい。

ところで筆者は、ロボット系アニメが苦手。昔、最初にきちんと見たガンダムはゼータだが、そのときは興味が続かず16話くらいでリタイア。とりあえずジーグは18話まで来れたが、イタリア人がどうしてそこまで夢中になるのか、まだ理解できてない。これからもっと面白くなるのだろうか(そうだといいな)。

2019-07-03 これは何のアニメでしょう?

 「これ何のアニメか分かる?」オランダ人から唐突に尋ねられた。小さなパラボラアンテナのようなものが付いた電子機器だが、漫画チック。第一印象は「ポケモン?」何だか分からなかった。

 2枚目。「これは?」依然「ポケモンかも…」1980年代末か90年代と予想。見覚えがあるような気もしたが、分からなかった。

 3枚目。「ポケモンじゃないな。3枚とも同じ作品なの?」「うん」「2枚目と3枚目だけなら葦プロ魔法少女っぽい雰囲気だけど、1枚目のメカは男の子向けの作品っぽいし、何なんだろうね。自分では答えを知ってるの? あ、もしかして1枚目は、ジートが持ってた妖精探知機じゃない?」「分かってみると簡単でしょ(笑)」純粋な疑問じゃなく、遊びのクイズだったのか!

画像は、あと2枚用意されてた。4枚目は街側から見上げた「海の見える丘」、5枚目はフラワーハウスの屋根。難しいヒントから、だんだん易しいヒントへ。「画像から作品名を推理し合うスレ」みたいなのがあって、今朝にかけて、徹夜でこの問題を作成したらしい。オランダのオタもやるなあ。本多知恵子さん、安らかなれ。

2019-07-09 「DEATH NOTE」妄想

(1) 漫画の「DEATH NOTE」では「相手の名前をノートに書くとその人が死ぬ」という魔法のノートが登場する。殺したい相手が、例えば韓国人・モンゴル人・アルメニア人・ジョージア(グルジア)人の場合、ノート使用者は「その人の名前を書く」ことができるだろうか。ノートを使う人間にとって、世界の文字の多様性はかなりのハードルとなり得る。

(2) 「不可能な内容でなければ、死の前の行動を操れる」というのだから、駄目もとで「常温核融合の理論を発表後、死亡」「難病の画期的治療法を発表後、死亡」などと指定したらどうだろう。3人の暗号学者の名前と日時を記入して、死因はそれぞれ「RSA問題を多項式時間で解くアゴリズムを発見、arxivで公開後、うれしさのあまりショック死」「RSA問題を多項式時間で解くことの不可能性を証明、arxivで公開後、うれしさのあまりショック死」「RSA問題がPかどうかは決定できないことを証明、arxivで公開後、うれしさのあまりショック死」とすると、全部不可能ってことはないだろうから、どれかが実現する。

(3) 「DEATH NOTEに狂いなし」。誰かの死亡時刻が記入された後、協定世界時の管理者が結託して「突然ですが、臨時で負のうるう秒を60個挿入します」などと宣言し、その時刻が存在しなくなったら、どうなるのだろう? システムエラーが発生、対象者が永遠に死ななくなったり、ノートが壊れたり、それを書き込んだ本人が死んだりするかもしれない。

2019-07-16 アニソン「しゃーぷっ」「ぴたテン」「フルメタル」「姫ちゃん」

「あしたねって、みんなと」(耳をすまして)の歌詞・雰囲気は、ぴたテンEDの「あしたまた会えるよね」を連想させる。ぴたテンEDは、湖太郎くん(少年キャラ)が女の子の声で「それは秘密、誰にも秘密、小さな魔法」と歌う不思議な世界だった(妄想…)。ぴたテンは、漫画版・アニメ版、別バージョンの世界を楽しめるのもいい。一番好きな作品ってほどじゃなけど、キャラとしては紫亜ちゃん萌え(声=ゆかな)。で、ゆかなって、自分の中では、フルメタルパニック(以下FMP)のテッサでもあるんだよね。

FMPは自分からは見ないタイプの仮想戦記?だけど(基本的にロボット系は趣味じゃない)、当時、サークルつながりで原作まで読んだ。冗談で「ファンダブ(吹き替え)やろうよ、あんたテッサね!」みたいなノリで。今思うと、ゆかな好きなので、うれしいかな? んで、それから何年もたってから、突然、電撃的にひらめいたのよ。FMPのOPの「二人で逃げ場所探して 走った天気雨の中」って、姫ちゃんのリボンED2の「突然夕立に追われて 逃げ込んだ鉄橋の下」に似てるって(内容のシチュが)。それだけなら「ただの偶然」だけど、FMPのEDは「に会えて、うれしかった…今は別々の空、見上げて」みたいな感じ、姫ちゃんのOPは「元気なが好き…今は遠くで見てるよ」OP/ED両方の内容が、すげー似てる気が! それにFMPって仙川(京王線)っぽいけど、姫ちゃんは国立で、川は多摩川で、だから「逃げ込んだ鉄橋の下」に意味があるとすれば、京王線の多摩川橋梁じゃない? ストーリーも世界観も全然無関係なのに、何かつながってるよ!

ちなみに「エスパー魔美」の舞台も、同じ地域(京王線・聖蹟桜ヶ丘あたり)だとか。

2019-08-11 ミラーリングの問題点: 漫画と日本人名 縦書きの日本語は、アラビア語のように、右から左に進む。漫画のせりふも基本、縦書き。だから漫画も右から左に進む。

漫画(吹き出しの中のせりふなど)をそのまま「左から右」の言語に翻訳すると、テキストが双方向的になる。

コマ3    コマ2        コマ1
なるほど!  こういうことだよ   双方向的って?

慣れてないと読みにくい。で、10~20年くらい前まで、漫画の商用の翻訳は、ミラーリングされることが多かった。全ページが鏡像(左右反転)で印刷されて逆順にとじられ、左から右へ読めるようになってた。日本の単行本で言えば「裏表紙が表紙になって、そっち側から読み始める」という形。

コマ1    コマ2        コマ3
左から右?  こういうことだよ   これなら素人でも読める!

これは一見、読みやすいのだが、オリジナルの漫画には「右から左に進むコマ割りによるストーリー展開のリズム」があって(漫画を読む人なら、説明抜きに分かるよね)、鏡像にするとオリジナルのリズムを味わえない。画面内の文字(例えばTシャツのロゴ)も鏡像になってしまう。美しくない。スポーツ系の作品で「左手をけがした」「右投げの投手」なんて場面は困るよね。画像が左右逆だと。

で、熱心なファンの間では「右から左に描かれた漫画は、やっぱ右から左に読むべきでしょ」という当たり前の考えがある。そりゃそうでしょう。美術の本で、ゴーギャンやピカソの作品を左右逆で印刷したら大問題(もっとも日本の漫画家の中には、問題を承知の上で、鏡像を許可していた人もいたが…)。ファンの作る翻訳(スキャンレーション)では昔から「右から左のまま」がデフォだったし、やがて商用も「右から左」が主流に。ミラーリングは、すたれていった。おまえら、漫画が好きならコマを読む順序くらい覚えろ、と。まさに正論(笑)

同様に「河合稲子」というキャラがいたとして、それは「かわいいネコ」という言葉遊びなんだから、Ineko Kawai ではニュアンスが失われてしまう。Kawai Ineko のままがいい(kawaii と neko くらいの日本語は、オタなら普通に知ってる)。Kōrogi Satomi は Kōrogi Satomi であって、Satomi Kōrogi では、ちょっと…。本来の名前は Kōrogi Satomi で本人もそう名乗り、日本ではみんなにそう呼ばれているんだから、ひっくり返すのは本物ではないというか、リスペクトが足りないというか…。んなわけで、人名をミラーリングしないことをデフォにするのは、いいことかなと。

もちろん、リアルで使われる人名はケースバイケース、本人の考え次第。米国在住のハンガリー系の人も、名字を後ろにしてひっくり返した形を氏名としているケースが珍しくないみたい。「ひっくり返しておけば理解されやすい」というわけじゃなく、ひっくり返してもひっくり返さなくても「どっちが名字で、どっちが個人名なのか」を尋ねられたり、説明しなければならなくなったりする場面は等しく生じる。リアルでは。とにかく多様性の時代なんで。不特定の相手に対しては「メリークリスマス」さえ言わない方向(無神論者やユダヤ教徒とかもいるので)。多様性=「統一すること自体が良くない」。ひっくり返したい人はひっくり返せばいいし、それが嫌な人は、ひっくり返さなければいい。互いに自分の考えを押し付けない。

上記の歴史の結果、古くからの漫画ファンは、印刷パターンに合わせて左から右(鏡像)、右から左(純正)、どちら向きでも漫画をスラスラ読める人が多い。ルンルル、ちょっと器用ね、両利きみたいで。

2019-08-28 君は、自転車の涙を見る… 2000~2010年ごろの時期、鳥取大学・学生センターのウェブページの「キャンパスライフ」コーナーには、忘れ物・落とし物の取り扱いについて、ネタっぽいことが書いてあった。要約すると「忘れもの・落としもので、多いものは次のとおりです。注意しましょう。1位・腕時計、2位・財布、3位・自転車の鍵(自転車なしで、君は生きのびることができるか)」

ある古いブログ記事でこれを知り「面白い」と思う半面、このネタならなぜ「君は、自転車の涙を見る…」でないのだろう、と疑問に感じた。「自転車なしで~」は、冗長というか、リズムが悪い。

疑問は追究しなければなるまい。「キャンパスライフ」の古いページを確認してみたら、実はこうだった。

「1位・腕時計(講義室によく置き去りにされています)、2位・財布(トイレの中とかでよく泣いてます)、3位・自転車の鍵(自転車なしで、君は生きのびることができるか)」…「財布が既に泣いてるので、自転車の涙だとくどい」という文脈が判明。一応納得。もし仮に全部このネタでいくなら、こんな感じだろうか?

1位・腕時計(君は、刻の涙を見る…)

2位・財布(君は、生きのびることができるか)

3位・自転車の鍵(鍵なんて飾りなんです)

もちろん原文はネタだけではなく、どの場所で紛失しやすいか注意喚起してるわけで、全部ネタにすると、お知らせの意味が減ってしまう。でも最後に1発ネタを入れるなら、それ単体では、やっぱり「君は、自転車の涙を見る…」に軍配が上がる。

原文を書いた担当者も、それは分かっていたのかもしれない。だとしたら、そこから導かれる結論は一つ(笑)。書いた人はファーストは好きだがゼータは嫌い、という明確なポリシーの持ち主だった。「作品的理由ではなく商品的理由から続編を作りまくる風潮」に嫌悪感を抱いていたのかもしれない。「ゼータなんて無視してイデオンを見なさい」と。

いずれにせよ、時代は変わった。今なら忘れ物のトップは多分、電話関係か傘・日傘。アニメの大部分はもう純粋な子ども向けではなく、さいしょっから、お金のある大きなお友達がターゲット。そして何より、今は学校のページにあまりネタっぽいことを書きにくいのかもしれない。

2019-09-08 光の国から ぼくらのために 来たぞ 我等のウルトラマン この有名な歌詞について、代名詞が不統一じゃん、という指摘がある。

不統一なのは事実だが「間違い」とは言い切れない。むしろ…

「わが国の憲法は、ぼくたちの生活の基礎となる重要なものです」←内容はさておき、この例文は子どもが書いたものとして、それほど不自然ではない。同様に「われらの」ウルトラマンという表現は、公的・共有資産的ニュアンスを持ち、「ぼくらのために」という表現は「その大きな存在が、身近な生活空間で起きている事件を解決するために」来てくれたというニュアンスを持つ。

そう解釈すると「ぼくらのために来てくれた」→「われら人類の味方ウルトラマン」は、効果的なズームアウトのレトリックを持つ。身近な子どもたちを写していたカメラが、どんどん上昇方向に引いていって街が映り、日本列島が映り、地球が映り、広大な宇宙空間が映るような…(ビバップの真ん中辺のラストのあれ的エフェクト)。

JPEG画像
↑ギャラ゙クティカのシーズン末にあった同様のシーン。「会話する二人」からものすごい勢いでカメラ(視点)が引いて、最後は銀河系を外から見る。ここから今度はズームインして地球が映る。

…むしろ「ぼくら」「われら」をどちらかに統一したら、平板・冗漫になって、歌詞のパワーが半減するのは明らかだろう。

2019-09-14 視聴率50%超?! 女性ファンも多かった イタリアの友人いわく、放送当時、ほとんどの子どもはジーグを見ていた。女の子もジーグが好きだった。

2015年のイタリア映画『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』(※)のヒロインもジーグファン。…イタリアの観客はみんな「ジーグ」って何だか知っていて、ジーグに憧れる女性という設定を普通に受け入れるらしい。仮に2015年の日本国内でそういう作品が制作・公開されたら「唐突で不自然・意味不明」と思われるだろう。本国の日本で以上に愛されてるんだな、ジーグって。イタリアで。ただしこの映画については「くだらない内容。お勧めできない」とのこと。

放送当時、子どもたちは学校で「ジーグごっこ」をやって遊んだ。ジーグ対ハニワ幻人という設定で、手をドリル型に組み合わせて「マッハドリル!」とか(笑)。そこまでイタリアの日常に溶け込んでたジーグ。「ハニワ」が聞き取りにくく、敵役は「アニバ」だと思われていた。そしてイタリア語のアニメ・ニュースグループでは、今でも参加者は互いに aniba と呼び合うらしい。冗談と愛情を込めて。

そのイタリア人も「ガンダムはレベルが違う」と認めている。認めた上で「けれどガンダムの初代TVシリーズは、良い作品だが完成度が低かった。結末の印象も薄い。だから人気が出なかった」と。

※ 原題「Lo chiamavano Jeeg Robot」=<和訳>彼を(人々は)ジーグロボットと呼んでいた。1970年のイタリア映画「Lo chiamavano Trinità...」=彼を(人々は)トリニタ…と呼んでいた、のパロディータイトルらしい。

JPEG画像 JPEG画像
↑ジーグ23話の港 vs. リアル名古屋港。フェリーに仕掛けられた爆弾を児童&犬が見つける。ガンダムの「小さな防衛線」みたいな話。

2019-09-13 ガンダム上回る人気・知名度 イタリアのジーグ イタリアでジーグの人気が高いことは有名だけど(前にも書いた)、何と!ガンダムと比べても「圧倒的に人気が高い」とのこと。ファースト・ガンダムはイタリアでも有名でそれなりにファンも多いが、ジーグの比ではないらしい。

ファースト・ガンダムが名作なのは明らかなのに、なぜイタリア人はジーグが上と見るのか。この視点・文化的背景は、自分の中で今後の研究課題。

正直、ロボット系って、よく分からん…少女漫画どっぷりのバックグラウンドなんで…。はいて捨てるほどガノタがいて、尊敬してたKOI2さんもガンダムの大ファンなので、絶対そこには「何か深い魅力」があるはず。それが自分には、まだ理解できない(※)。とりあえず今週末はジーグ21~25話あたりを一緒に見て、感想を話し合う予定。

(※) 他方、KOI2さんもタネあたりから見なくなってるという事実があり、何より富野自身がシリーズ物乱発を嫌がってたことは有名(ゼータの段階で既に葛藤があった模様)。原作者も筋金入りのガンダムファンも嫌がってるのに、それでも喜ぶガノタ…。それを理解できないのは、むしろ正常?

2019-09-12 思い立ったが吉日 「答えてあげるが世の情け」について「文法的にはちょっと変だけど、語調のため、あえてそういう言い回しにしたのだろう」と思ってた(実は「答えてやるが」で七五調と思い込んでいた)。だけど、そういやあ「思い立ったが吉日」という表現がある。それがOKってことは「答えてあげるが世の情け」も文法的にOKなんじゃね? 連体形+名詞(答えてあげること・思い立った)の名詞部分が省略され、省略後も全体としては名詞節として働き「~が + 述語」の形になれる…と解釈すれば理屈は合う!

用例主義からすれば、その言い方が広まった以上、その言い方は「あり」。そのうち「ラブリーチャーミー」が辞書に載る日だって来るかもしれない。

「愛と真実の悪を貫く」を普通に解釈すれば「貫き通す(あくまで悪を続ける)」で、それが本来の意図なんだろうけど、「愛と真実(というもっともらしい言葉)(中に潜む)(インチキ・弊害)を貫く(鋭く見抜いて批判する)」と解釈すると、深遠だと思わない?

擦り込み効果は絶大。子ども時代に最初に見たバージョンの声優の声が「そのキャラの声」になってしまい、オリジナルの声優の声がむしろ「偽物」に感じられちゃう。声優が変わった場合の「ドラえもん効果」みたいに。

2019-09-17 わたくしといふ現象は 因果交流電燈の ひとつの青い照明です ひかりはたもち その電燈は失はれ(宮沢賢治 『春と修羅』より)

JPEG画像「アンの小箱 イラスト 妖精-2 扉絵」より

詩人はもう いないけど

その歌は 輝き続ける

この世に妖精なんて いないけど

あなたの中には いつもいる

↑一見、意味深長だが、実はイタリアのアニソンがベース…。「幻よりも軽やかな」というような意味の文があって「幻ですらないんだから、思い切って『この世にはいない』と訳しちゃえ」。「詩人」=本多知恵子、「妖精」=彼女が演じたキャラ(世界)の象徴。「いつかはあなたの 住む街へ」「どこかであなたと すれちがう」ってのもいい感じだったけど…。本多知恵子の歌だと「私の名前 呼んでみて」「あなたのハート 包みます」。「いつかは」「どこかで」じゃなくて「いつでも」「どこでも」…。意地悪役のビビアンがピンチになって思わず呼んだときも、当たり前のように来てくれる。本多知恵子さんが亡くなった今も、この魔法は永遠に有効なんだよ。魔法だから。

※ 画像は「アンの小箱」の素材。

2019-09-25 KOI2名言集その1 10年以上前に10年くらい続いてた「みんなきてKOIKOI」。そこから、さりげなく変な文章を。もっと超絶的に変なのも多かったが(笑)。

その日の朝ですが突然私は知人に電話をしたのであった。
KOI2「あのさ!この前一緒に飲んだ君の友人の○さんっているじゃん。」
知人「おう!で、それがなにか?」
KOI2「確かコスプレしてたよね??」
知人「ういっす!」
KOI2「私に着れるコスプレな服は無いかねと聞いてもらえないかね?」
知人「はぁ?なんでまた?」
KOI2「今は内緒だ!ちゃんとクリーニングするから聞いてください。」
知人「いいけど?」
数分後
KOI2「はーいKOI2でーす!帰れ!」
知人「お前酔ってんだろ?」
KOI2「なぜわかった!」
知人「言動だよ!」
KOI2「うっはーー!で、どうだった?」
知人「まああるにはあるとの事だが、ウエストのサイズとか合わないかもしれないって。」
KOI2「確かに中年太りが入りはじめたし。」
知人「で、何のイベントに出るのかって聞かれたんだが何?」
KOI2「花見。」
知人「へ?」
KOI2「花見だす花見。」
知人「なんで花見にコスプレ衣装が必要なんだ?」
KOI2「着たいから。」
知人「・・・お前春の妖精が頭に住み着いてんだろ?まじで?」
KOI2「やかましい!」
知人「ちなみに本気か?」
KOI2「本気だ?無論本気。君と友人君も参加だからよろしくな。」
知人「まてよおい!」
KOI2「いいじゃん。こんな事滅多に出来んぞ。」
知人「絶対にやだ!」
なんだかんだで説得する私・・・。
KOI2「でさ、その服って何?」
知人「ガンパレとKOFのケンスウとギルティーギアのソルとスト3のヤンとクワトロとおジャ魔女どれみと・・・」
KOI2「おい待て。なんだそのおジャ魔女どれみって?確か男だったよな?友人?」
知人「彼女のじゃないのか?」
KOI2「俺らがそれ着てたら花見に行ったらパニックになるぞ。まさにおじゃ魔女カーニバルだよ!犯罪だよ!」
知人「いやまったく。」
KOI2「じゃあ私の家に来てください。」
(日記54)

↑ この後、ホントにコスプレ花見して大はしゃぎ。どれみが親子連れに受けまくる。アイデア自体はKOI2さんのオリジナルではなく、以前に「いろんなさくら」のコスプレで花見する集団(なるほど!)を目撃した記述あり。その「さくら」集団も、実は「爆裂カップメン」の読者だったというオチ。単純計算で、全日本人の10人に一人は読んでいるサイトだった(1000万ヒット)。

しかしファミコンを指さして「これなに?」と言われたのにはカルチャーショック!年齢的に知ってる訳あるはずナッシング。どうやら初めて遊んだゲーム機はPS2との事。なんて贅沢な時代になったのだ。試しに初代スパーマリオブラザーズをやらせてみる。
「絵がきたないからつまらない。」
とのお返事。どうやらゲーム内容より絵みたいである。時代か?しかしファミコンのスペックが携帯電話以下と言っても信じないだろうな・・・。とてつもないカルチャーショックであった。
(日記47)

そしてその後40時間ぶっつけでゲームをする。久ぶりに脳に電波が届くのではと思うほどギャルゲーをしてしまった私。これはこれでOK!だってすきなんだもーん。 (日記41)

誤字脱字が多いのはKOI2さんのスタイル。思うに、ものすごい勢いでタイプして、細かいことにこだわらない主義。上記の引用だけだと「ゲーム廃人」と誤解されかねないが、ゲーム関係の仕事してた人なので(確か「悪代官」を作ったとか)、基本、ピアニストが音楽の話をするようなものかと。カップメンの本も出してるので、ある意味、リアルに活躍してた。別の意味で壊れてるが…(笑)。もう、迷惑電話に対する余裕の応答とか、天才と紙一重というか、ばかと紙一重の天才というか、とにかくネットは広大だった。デフォでトラッキングされたりしない荒野だった。

前にも書いたけど、KOI2さんは「キーボードクラッシャー」の陰のプロデューサーでもある。おびただしい派生作品を生み、世界中で有名になった「本家・完全翻訳版」は、KOI2さんからの電波指令により誕生。当時はあまり「中心」がなく、日本でのユーチューブの一般認識は「どこか外国の知らないサイト」だったらしい。投稿した人(当時のこのサイトの読者の誰か)は、わざわざ英文で動画の説明を書いてたし、主演のドイツ人自身も翻訳した自分たちも、動画サイトにアップしたわけではなかった。ちなみに同じ頃、フランスファイブや愛国戦隊大日本も紹介したのだが、これらはそれほどブレイクしなかったっぽい。

あれはネットの比較的初期における「むひょひょ」。個人サイト間(ユーザーの大半は多かれ少なかれオタク)で普通に遊べた時代。中央サーバー・大企業に縛られない、半分実験的のような…。仮に今KOI2さんや、あのドイツ少年や、ブレイク工業の人がデビューしても、受けないかもね。当時、ファイル共有ソフトを作ったら、ソフトウェアの開発者が逮捕されたこともあった。今、大会社がもっと大規模に動画投稿サイトを運営して、事実上ほぼ何でも共有される状態にして無問題なのは、なんか訳分からんよね。法人税をいっぱい払ってくれるところがやれば法律適用はてきとーで、脱中心的にやると、法律を無理やり拡大解釈してまでつぶしにくる、みたいな…。

本気の字幕は年単位のチームワーク。1日で作った「クラッシャー」のやつは単なる遊びで「そういやあ、あったなぁ」くらいの感じだが、懐かしいといやぁ懐かしい。あの動画のせいで、ドイツ少年がリアルでいじめに遭ったことは、良い思い出ではないが…。

もちろん最近でも「いいもの」はあるんだけど、子どもの絶対数が減ってるせいか、物理的・原理的に、無邪気に熱いものがバリバリ出にくいんだと思う。「意味なんてない純粋な遊び」じゃなく「あわよくば金もうけ」「受け狙い・カメラ目線の演技」みたいな。自己評価も、中心が管理する数字(広告効果の大小)が尺度。「自分がやりたいからやる!」って言い切れてない。それって要するに、全員コマーシャルを見せられてるだけじゃん。

2019-09-27 KOI2名言集その2

変な羽の生えたリュックを背負ってる電波オッサンと通行人に思われたであろう。面白いので帰り道でタイヤキを買った。家に帰ってきてから恥かしさがこみ上げてきてノタウチ回った夏の日。 (日記95)

ハンター×ハンター以上の手抜き漫画が読めるのはみんなきてKOIKOIだけ みんなも苦情の手紙を出そう! (日記73)

ジャンプなんぞもう読んでもいないしな。人気があろうが知らんもんは全くしらん。 (日記113)

世の中には無限と有限が存在すると思う。人の命は確実に後者ではないのでしょうか。有限だとわかっていても、いつその有限が終わるかなんて本人も、付き合っている友人もわからないものです。知人の有限が終わった時に、また有限が終わっていない友人はその分面白おかしく生きなくてはと思います。馬鹿話して酒のんで騒いで。 (日記32)

結論としてなぜメイドがいたのか全くの不明です。しかし人類には小さな目撃でもメイド麺達成には大きな一歩であった。 (日記29)

まさか無償で英語版を作っている人がいるとは!さすがアメリカ!もうガンガン作って下さい。こんなHPでよろしければ何でも使って頂いてOKです。しかしお願いがごじます。KOI2は私の名前ですのでそこは変えた方が良いかと・・・。 (日記23)

当HPに著作権はありません。 勝手に気に入った物使ってOK! 掲示板は勘弁ですが。 狂人に見られても当方は責任もちません。 (日記9)

2019-10-06 「あしたのジョー」アニメ版ってホントに1970年代なの? ???

↓とりあえず、これだけ見た場合、2005年ごろのリメイクと言われても、普通に納得できる。しかし、これが1970~71年に放送された初代テレビ版の66話らしい。CGがない時代に、どうやってこんな絵をレンダリングしたのだろう。リアルで写真を撮って、トゥーンシェーダーみたいなことを手動でやったのだろうか。単純な絵がメインだった50年前に「アニメでこういう画像を使える」と発想できたこと自体が、すごい。出﨑監督の押し入れにはドラえもんがいて、未来の道具を出してもろたんちゃうか。

JPEG画像

前景と後景でピントを切り替えて3次元っぽく見せるのは、今でこそ定型句だが、そういう手法がある=最初に使った誰かがいる。そういう初期の一例なのかもしれない。

JPEG画像

川に小石がぽちゃんと落ちる描写(41話)、電灯が揺れる場面の光の描写(45話)なんかも、ドキッ! 今ならCGでもっと精密にできることだが、さりげなく手描きでやってる。全体としては古くさい作品なのに、ときどき「10年単位の未来の技術を使ったような、不思議な映像」が混ざってる。

荒れてる部分も多く、たまに時間稼ぎの総集編的な回も…。もともと無理・矛盾のあるストーリーなので、内容の評価は微妙。無印は計70話くらいしかないのに、力石が死ぬだけで50話以上かかる。アニメが原作に追いついてしまったパターンらしい。有名なラストシーンがあるのは1980年ごろの「あしたのジョー2」。無印と「2」の間が10年くらいあいてるのも謎。

2019-10-09 KOI2名言集その3

散歩をしている時、電柱に貼ってある紙が目に入る。「あなたは何の為に生きているのですか理解していますか。よろしかったら私と一緒にそれを探しましょう。」らしい。愚問である。人間はメシ食って寝て遊ぶ為に生きているのである。これ以外の事などメシ食って寝て遊ぶ為の補助である。 (日記13)

↓こんな感じかも(スイートミント3話)

ハーブおばさん「当たり前でしょう! これを自慢しなくて何を自慢するの? 人生は楽しむものよ!」

ミント「おばさんの場合、よく遊ぶものね」

ハーブおばさん「あら、いいじゃない! 遊びの心がなくちゃ、なぁんの楽しみもないわぁ」

明日は待ちに待った日である。「機動戦士ガンダムLD-BOX後半」が出る日である。 しかし今月はあんなこんなで金が無い。無理して買うべきか、給料出るまで待つか。なに、買わないって選択枝はないのかって?愚問である!これを買わないで何を買うというのだね。なんか偉そうな自分である。しかしアレですね。もう本放送から20年ですよガンダム。あの時はまだ小学生5年であった。あれから20年も生きてるなんて奇跡である。生クラゲ食べたり残飯あさった事もあったなー。懐かしい思い出だが、この時期がなかったら今の私は無いであろう。 (日記3)

調子にのってチェーンジゲッター3!スイッチオンと叫びながら湯船に潜る。俺っていったい何歳? (日記1)

「ナイス蚊っち発動承認!
 了解!ナイス蚊っちセイフティーデバイスリリーブ!
 うおおーーー!ラケットコネクトォ!ゴルディオンナイス蚊っちぃぃぃ!ふん!」

割と小さい声で言ったのですが・・・もう気合入りまくり!一体何歳なんだ私ってば。
(日記80)

2019-10-17 スイートムーン

「スイートミント」のイタリア版「ドルチェ・ルナ」。またまたクリスティーナの歌のネタ。

その1 Dolceluna che serenità (スイートムーン、何というセレニティー) ← この歌詞、セーラームーンのイメージを先取りしてるね。さてはて、モモ型の変身は「別の職業の別人物に変身」「アイドル歌手に変身」等のパターンだったが、マリーベル型は「自分自身の上位バージョンに変身」。当然、セラムンはマリベ型。中間にあるミントは、ホントその二つの中間的で、魔法少女史の中で面白い位置にあるかと。雰囲気はもろにモモっぽいんだけど(特殊技能を持つプロに変身)、外形的に「別人」に変身してるわけではないんだよね。姫ちゃんみたいに校長先生に変身したりはしない!

その2 児童合唱のバックコーラス「ドルチェルナ、ドルチェルナ」。まあ普通っていうか、当たり前のパターン。と油断していると…。曲の末尾で、児童合唱が先に出て、2個目のドルチェルナにかぶせるように、クリスティーナが2倍の遅さの同じメロディーで「ドールチェール~~~ナ~~~」と歌う。速度差(倍率)のあるカノン。さすがイタリアは音楽の国! ふわふわしたムードがいい感じ。楽譜には dolcissimo とか書いてあったりして(笑)。ドルチェルナの歌はドルチェでゴー!

その3 もしもミントがもっとヒットしていたら…。ミュウミュウのミントは弓形アイテムを使わないし、ミント(ーン)アローとも言わなかっただろうし、そもそもキャラ名がミントではなかっただろう。そしてエヴァのペンギンもペンペンではなかっただろう。ひょっとするとポケモン・アニメのイミテのキャラデザも少し違ってたかも?

JPEG画像
↑左が本物のミント。右はポケモンのイミテ。ミントのイミテーション(笑)

8話のミント「1、2、3、4で『いらっしゃいませ』ってご挨拶よ!」 訳の分からんこのノリ、なんか「ようこそようこ」っぽい。

2019-10-20 ポケモン・アニメのイミテ(キャラ名)とスイートミント

JPEG画像

左が「魔法のエンジェル スイートミント」のミント(1990)。右がポケモンのイミテ(2000)。まさにパチ物、イミテーション。1990年代初めの葦の丁寧な作画に比べると、明らかにコスト削減・量産型。星形のイヤリングとペンダント(いちいち描くのが大変)が、大きな1個の星(手抜き)になってるところが切ない。顔の輪郭線も、あまり繊細な感じではない。

「ミント vs. イミテ」については、10年くらい前にもこのページでネタにしたが、そのときはテキストだけで比較画像を掲載しなかった。ポケモンアニメといえば首藤、首藤といえばモモ、モモとミントは同じ葦プロ魔法少女。接点はあるわけで、意識的に(パクリというよりネタとして)ミントをまねた可能性も…。実際「変身できる」という設定なので、制作側の心象として「魔法少女」に結び付く可能性は大きい。とはいえ首藤がミンキーモモを出したらあからさま過ぎるし、マリーベルでは外見年齢が合わない。葦プロつながりとすれば「ミントのパロディー」になるのは、必然といえよう。キャラ名自体イミテ(国際版では Duplica=複製さん)。初登場エピソード(1997)のタイトルは「メタモンとものまねむすめ」。

JPEG画像
↑サトシに「変身」したミント…もといイミテ。フシギダネは林原、ピカチュウはもちろん大谷。変身しそうな声優に囲まれてるぞぉ。「ピカピィ、ピカピィ」(訳=パラレル、パラレル)

この手のミント・ネタで最も有名なのは、何といっても「スイートミント vs. ミュウミュウ・ミント」のアロー問題でしょう!

JPEG画像

JPEG画像
↑左=スイートミントのミントとそのアイテム「ミントアロー」。ディテールのある、結構手の込んだデザイン。たぶんですが、おもちゃとしての売り上げが重要だったのでしょう。攻撃用アイテムではなく、変身用。戦いの物語ではない。
右=ミュウミュウのミントとそのアイテム「ミントーンアロー」。こちらは敵を狙って撃つ道具。コンピューターを使った光の効果は華やかだが、アイテム自体は省力的デザイン。

が、あれは偶発的にかぶっただけでしょうから、ここでは蒸し返さず「ミント vs. セラムン」という別の切り口を考察したい。まずは「スイートミント」のこの画像を見ていただこう。

JPEG画像

一目瞭然、今にも「ミント・ティアラ~」とか言いそうである。イタリア版が「ドルチェルナ」(=スイートムーン)と呼ばれ、その主題歌に「セレニティー」に当たる言葉が入ってるのも、セーラームーンを連想させる。イタリアでのその辺の認識については、機会があれば、いつかご紹介したい。ちなみに、上記引用画像は「ファンタジーの絵本の世界に入り込んだ」という設定の「物語内の物語」の場面。ミントは全体としては「敵と戦う殺伐とした話」ではなく、ほんわかした作品(変身後の姿は毎回変わる)。それと、このデザインはセラムンのパクリやパロディーではない。セラムン(1992~)の方がミント(1990)より後

今の世代から見ると「生まれる前の話なんて知らん!」だろうけど…。バブルが弾ける直前は経済的に絶頂期だったので、損得をシビアに気にしないような、おおらかで不思議な作品が生まれる余地があった。バブル崩壊で絶不調になって、ずっと LD も DVD も出ず、セーラームーンやポケモンのような「勝ち組」作品の陰に隠れ、忘れ去られてしまったが、純粋に内容を評価した場合、セラムン初代はもちろん名作だけど、その少し前の良作(きん注、ミントなど)には、勝るとも劣らないものがある。純粋に女児向けの作品については「今のような期待」は、できない。「オタに買ってもらわなくても経済的に成り立っていた=売り要素としての萌えを混入させていない」ので。「そういう打算のない、純粋に楽しめる作品」があった…ということが「お金には換算できない価値」なのだが、たぶん同意してくれる人は少ないだろうな。

でも別にいい。「ホントにそうだよね!」と思ってくれる少数の仲間と、しみじみ語り合えるだけで幸せ。大勢で騒ぎながらスピード消費・大量消費するのは、疲れてしまう。一気読み・一気見をしないで、ゆっくりと時間をかけて出会い、楽しんでほしい。素直な心は、他の誰にもまねのできない宝物。君は君だよ、だから誰かの望むように生きなくていいよ。

2019-10-29 不適切なロボット? 「鋼鉄ジーグ」29話より。

JPEG画像

いくらボケ役とはいえ、訳の分からんデザインである!

映画「Dr. Strangelove」にも、性的なほのめかしを含むイメージが多い。被爆国から見るとストーリー自体がふきんしん(ふきいしん?)かもしれないが、あれは「悪ふざけ」ではなく「ブラックユーモアの形で批判している」のではないだろうか。…と見せ掛けつつ、やりたい放題やってるのかもしれない(笑)。

JPEG画像

その他

2019-06-11 「風立ちぬ」の元ネタの元ネタ 堀の小説「風立ちぬ」の元ネタが、フランスの詩人バレリーの「風が立つ。生きなければ!」であることはよく知られているが、そのバレリーは、古代ギリシャの詩人ピンダロスの作品を引用している。その大意は「いとしき(わが)魂よ、不死の(無限の)命を望むな。そうではなく、おまえが持つ(有限の)ものをフルに使うのだ!」 シリア語(筆者の趣味)では「風」は「霊、命」と同じ単語なので、バレリーのイメージは何となく分かる気がするし、ピンダロスの言葉と堀の物語もすごくつながっている感じがするが、ピンダロスのギリシャ語は、アッティカともホメーロスともコイネーとも違う方言らしく、難しいというか読みにくい。簡単な言葉(ただの冠詞の方言バージョン?)が理解できない。調べて慣れる必要がある。

「生きめやも」という堀の言葉は「生きるもんか!」「生きようよ!」のどっちの意味なのか曖昧な感じがするが、元ネタの元ネタのピンダロス自体「無限になんて生き(られ)るものか」「だから精いっぱい生きるんだ」という二重性を持ってるんじゃね?

つまりアンパンマンの歌と同じロジック(=終わる命だから、生きる喜びがある)なんじゃね?

2019-07-26 フリースローの心理学、人生のキャンセル技

昔、USABのサイトに「フリースローの科学」という面白い記事(*)が載ってた。

コンセプトは常識的なんだけど(=意識し過ぎると失敗するから、心を空にして「自動操縦モード」で打ちましょう)、具体的練習法などが書かれていて、何より次のフレーズに心引かれた。

放つべきシュートなどない。得点は消え、時計は消え、チームメートは消えた。観客は消え、敵選手は消え、得るべき勝利も、恐れるべき敗北も消えた。過去はなく、未来はない。あるのはただ、自動操縦モード開始のトリガー。

まるで般若心経。実際、著者のベテランコーチは「マントラ」という言葉を使っている。

自転車に乗るのでも、食べ物を飲み込むのでも、ミリ秒単位の複雑な動作を、脳は全自動制御してくれる。「このタイミングでペダルを踏もう」「このタイミングで気道を閉じて食道を開こう」と意識して制御しようとすると、かえってめちゃくちゃになる。そういえば「千と千尋の神隠し」で、主人公が泣きながらおにぎりを頬張るシーンがあるけど、おえつしながら嚥下は無理じゃね(笑)。

まあ、それはともかく、繰り返すことで脳をプログラミングできるのは動かぬ事実(上記のバスケの記事によると、コンパイルされたプログラムは小脳に格納されるらしい)。それどころか、夜にどうも分からず悩みまくった事柄(例えば数学の問題)が、翌朝、目が覚める頃、寝ぼけた意識の中で「当たり前じゃん。これはこうで、ああなんだから」と完全解決してることがある。似た経験は誰にでもあるんじゃないかな。眠って起きたら、悩んだことがうそのようにスッキリして、心が決まっていた、的な…。これを解決したいと思ってると、寝てる間にまで、勝手にバックグラウンド処理が続いてるっぽい。

脳って、すげえ!

意識してもできないことを楽々と勝手にやってくれるんだから、これを活用しない手はない。逆に「私には無理・どうせ失敗する」とかネガティブなことを繰り返し考えると、それが脳にプログラミングされて、やばい。脳は素直に「このユーザーは失敗を希望してる」と解釈して、そういう配線を作ってしまうかも…。

だから不安な考え(あれがああなったらどうしよう)が浮かびかけたら「困ったな・だってそうなったらこうなって・こうなったらああなって」と苦悩シーンを最後まで演じず、すぐ別のコマンドを投入して「でも大丈夫」の逆転コンボに持ち込もう(笑)。「そうなったらなったで対処するし、ならなければならないし。問題は、どう対処するか」と脳のコンパイラーに繰り返し伝えると、脳も「このユーザーは対処したいんだな」と解釈して、バックグラウンドで最適な対策を模索してくれるかもしれない。

十分なデータがなければ、さすがの脳も、何もできない。どんなに心を無にしても、どんな宗教に入ってどんなにお祈りしても、練習してないフリースローは入らないし、練習してない曲をちゃんと弾けるわけない(簡単な曲なら初見で弾けるけど、それも練習の成果)。自動操縦モードが実装されるまで、何度も失敗しながら、何度も転びながら、繰り返しやるしかない。

「もしかすると、何とかなるかも・切り抜けられるかも」「いや、できる」「問題ない」「私はやる」とりあえず、試しにそう思ってみるだけならフリーだし。

「スラム・ダンク」のアニメで、スリーポイントシューターの子がバテちゃって、スポーツ飲料の缶を開ける力もないってシーンがあった。ものすごいリアリティーだった…。

***

「僕が熊と戦ってるのを見たら、熊を哀れんでやってください」

2019-08-01 防災・広報無線の謎 日本に寄留してる方が、こんなこと言ってた。「光化学スモッグとか熱中症に注意とか、細かいことをいちいちうるさく放送しているのに、何で『合併で市名が変わります』とか『今年から元号が変わります』とか、そういう基本的なこと広報しないんだろ。知らないうちに変わってるとびっくりするんで、事前に大きなポスターでも張って、告知してほしい」

一理あるかも?

2019-08-03 バナナを食べると蚊に刺される?! 「ニンニクを食べると蚊に刺されなくなる」という「吸血鬼ファンタジー」には、エビデンスがない(※)。一方「バナナを食べると、食べなかった場合に比べ、何倍も蚊にたかられる」ことを示唆する実験がある(Paskewitz et al., 2018)。バナナを食べる前・食後3時間の被験者の皮膚から得たサンプルを比較。ハマダラカは後者に引き寄せられる。被験者がブドウを食べた場合、このような差は生じなかった。

37℃のエアー(高濃度の二酸化炭素とバナナの匂いを含む)を発散する「ダミーのチャフ」を作って、周囲にばらまいておけば、蚊のレーダーは混乱、本来のターゲットである人間は、蚊から「見えにくく」なるかもしれない。熱・嗅覚迷彩!

(※) ニンニクを投与した群とプラセボを投与した群で、蚊に刺される割合に有意差が認められなかった(Rajan et al., 2005)。

2019-08-17 自販機って襲撃されないのかな? 漫画・アニメなどでは、缶ジュースやコーヒーなどの自販機があちこちに設置(描写)されている。人けのない峠道のような場所にもあって、深夜にもこうこうと稼動してる。日本に自動販売機が多いのは周知の事実。真夏の戸外に冷蔵庫を設置してるようなもんだから、すげえ電気の無駄って気がするが、それはさておき、自販機って、犯罪者に狙われないのだろうか…?

もちろん日本にだって犯罪はあるし、悪人はいる。ターゲットが死傷しても構わないぜ、という考えの「不良」も登場する。お店での万引きも多いらしい。にもかかわらず、孤立した場所にあって周囲に誰もいない自動販売機が狙われないとしたら、どういう文化的力動なんだろう。機械ごと盗むのも、その場で破壊して商品や中のお金を盗むのも、原理的には簡単そうだが…。「暴力・殺人・公共物への落書き・ガソリン泥棒はありでも、自販機を壊すのだけは反則」っていう集合無意識があるのかな? それとも意外とセキュリティーが厳重で、金庫みたいになってて破壊困難?

防犯装置っぽいもんが内蔵されてんのかもしれないが、そんなの電源コードを抜いてしまえば無効だよね。それも対策済みでリチウムUPSでも入ってんのかなぁ。

現実的に考えると、実は自販機荒らしって、ありふれた犯罪なのかもしれない。猫を捨てたり虐待したりする人もいるんだから、やっぱ自販機を壊す人くらい、いるよね、きっと。多少壊されてもトータルでは収益がある、って計算で設置・運営されてる、ってとこか。あるいはそういう被害をカバーする保険があって、保険料を価格に上乗せしてるのか。「温和な国民なので自販機を壊されない」(素朴な解釈)、「何かあっても損がないように保険に入ってる」(計算ずく)、少なくとも2通りの解釈が成り立ちそうだ。

2019-08-18 アイルランド人はアイルランド語を話さない!(びっくりトリビア) 同国・中央統計局による2016年の統計(EA052)。アイルランドの人口は476万だが、アイルランド語を実際に日常使う人は約2万人しかいない(学校でのアイルランド語の授業については「実際に使う」に含めない)。

一方、アイルランドには、日常、家ではポーランド語を話す人が14万人、フランス語を話す人が5万人もいる(E7060)。アイルランドの住民の3%はポーランド語話者で、アイルランド語話者よりはるかに多い。

アイルランドにポーランド人が多いのは「国外からの労働者を受け入れてくれる国が他にあまりなかったから」らしい(同じEU圏でも、いろいろ制限があるんでしょう)。確かに昔、疑問に思ったことがある…近所なのに、なぜフィンランドにはポーランド人が全然いないんだろ?って。まあフィンランドは「東西」の境目で、しかも民族がヨーロッパ系でもないので、いろいろ微妙っぽいけど。

アイルランドではフランス語の人気が高いってのも意外だよね。フランス系住民が多いわけではなく、生粋のアイルランド人も案外、フランス語を使うらしい。そういう話者は数万人で、日常アイルランド語を使う人より多い。やっぱ「おフランスはステータス」のかな。何かもっと深い文化的・歴史的背景があるのかな。

JPEG画像
↑ダブリンにあるポーランド系のお店(CC-BY-SA by Fribbler)

2019-09-02 大好きな人からプレゼントをもらったら、とてもうれしい 「プレゼントの箱をすぐに開けてしまうのは、もったいない!」と感じる人もいるかもしれない。もしかすると、実際その理由から、すぐには開けない人もいるかもしれない。極端な話、一生、開けなくても幸せかも(腐る食べ物とかでなければ…)。理論的には「中身が空っぽでも(何ももらってなくても)幸せ」なのだから、不思議な現象だ。

逆に一番もったいないのは、贈り物をもらったのに、気づかなかった場合だろう(サプライズ・ギフトとして、引き出しの奥に隠してあったとか)。

「プチプチつぶしを楽しむ」のは無邪気だが、同じ行為でも、銃を突きつけられ強制的にやらされると、全然楽しくない。殺されないため生きるため、正義のため、世のため人のため、功徳を積むため、自己実現のため、地獄に落ちないため、こう見られるためああ見られるため…といった「別の目的」(とその人が思い描くこと)の手段として何かをすると、食材そのものを味わえなくなってしまう…。めったに食べられない珍味なんだけど、計算するとカルシウムが不足なので、今日の食事は失敗でした、みたいな(何じゃそりゃ)。

作業の成果を生きがいとする人は、心が揺れる。うまくいくとは限らないから。「別の何かの手段」と解釈するせいで、その「別の何か」が実現したかどうかという局所的な評価にとらわれてしまうのだろう。その点、飽きっぽい人は幸せだ。作業そのものに夢中になり、人事を尽くすが天命を待たず、そのうち飽きて忘れてしまう。

猫が飼い主をなめる本当の理由は、よく分かってないらしい。もしかすると人間の言葉に翻訳できるような理由なんて、ないのかも。人の行動もそうだけど、猫のロジックなんて、あるんだか、ないんだか…。まあ、実は合理的な理由(塩分を補給してるとか)があるのかもしれないが。

2019-09-19 生きる喜び 死ぬ喜び 生きる悲しみ 死ぬ悲しみ

PNG画像「花束を持つ妖精のイラスト」

何かが生まれ消滅するということは、リソースを確保・解放すること。有限個の分子から成る世界において、それはリサイクルの1回転であり、その何かから見れば「分け与える」こと。分けたくて分けるなら喜び。分けたくないのに分けるなら「奪われる」ということで、悲しみともいえる。長い目で見れば、どちらも同じようなものだが…

植物が「どうぞ」とばかりに果物を実らせるのは、不思議なことだ。進化論的には何か利己的な理由があるのだろうけど、何と優しい利己なのか…。

「計功多少」というのは良い心掛けで、おいしい野菜を育ててくれる人に感謝するのは当然だが、大きな枠組みで見ると、あらゆる物は何十億年もの歳月をかけて生まれてきた。具体的には、分子を作ってくれた恒星の功が大きい。大き過ぎて人間の尺度では計れないけれど、恒星も惑星も山も植物も動物も、同じ流れの小さな渦であり、同じ積み木をやりとりしている。

※ 画像は「アンの小箱」の素材。

2019-09-26 銀河軽便鉄道は にせものの金のメタルをぶらさげて 『春と修羅』の序文は格好いいが、肝心の詩は退屈なものが多い。「心をよぎったもの」をそのまま書き留めただけで(要するにチラシの裏のメモ)、もともと感動や完成度を狙ったものじゃないんだろう。誰かが「宇宙の海は俺の海。賢治の汽車も俺の汽車。俺の捨て切れぬ著作権」とごねまくっても、宮沢賢治からすれば「因果交流電燈から放たれた光は、みんなと一緒に明滅する現象であり、わたくしの持ち物ではありませんから、何が起きてもおかしくないのです」みたいな。

宮沢賢治がどう考えたのか・考えなかったのかはともかく、一般論として、作品・アイデアがお金や独占権でガチガチに縛られるなら、野性のミームにとっては生きにくい。それでも野性は野性なので、作者と関係なく(作者を乗っ取って)生まれたり死んだりする。

フリースローを打つとき、もちろん動作は精密にコントロールされていないといけないのだけど「精密にコントロールしなければいかん」と意識すると、逆に失敗する。ピアノを弾くとき、音を外したらいかんのは当然だけど「音を外したらいかん。次の音はこれだから、この指だ!」なんていちいち考えてたら、できっこない。その放たれたフリースローの軌跡。放たれた音の集合。音楽がわたしを弾いている。

2019-09-28 友達の大切さとデメリット

ゲームやアニメについて、次のようなことを考えてみる。

旧世代のメリット=「ステレオでないから嫌だ、きれいなCG絵でないから嫌だ」といったことを言わず、良作なら何でも普通に楽しめる。デメリット=見る予定のもの・見返したいものがたまり過ぎて、新作に集中できない。長いシリーズだと、追いつけない。メリットとデメリットの和=子どもが多かった時代には古典的名作が多いので、トータルではトクをしている半面、無駄にしたトータル時間も長い…。

時間は有限かつ1日24時間に固定されてるので「何に使うか」が重要。裏を返せば「何に使わないか」が最重要。漫画やアニメで言えば、どれだけ多くを読むか・見るかではなく、どれだけ多くを見ないで済ますか。その判断の基準として、自分と似た感性の友達(との情報交換)が、最も貴重な資産ではないだろうか。経験上、出会うべき作品には必ずどこかで「偶然」出会えるけど、この「奇跡」の裏には、無駄に見てしまった膨大な量が…。「奇跡」は記憶にとどまり「奇跡でないこと」はすぐ忘れるので、客観的な事実以上に「自分には奇跡が起きる」と主観的に感じている…(ある意味、自信過剰)。最大の問題点は「逃している奇跡に気付いていない可能性がある」。知らない対象については、それを知らないということ自体を認識できない!

そのまた一方において、友達から薦められた作品は「友情のために」少し色を付けて評価してしまう、という問題がある。やっぱり「自力で出会えた作品」が一番うれしい。結局は「運」なのか?

山だって「このポイントからの○○方向の眺めは最高!」というレビューを読んで、そのポイントに行って○○方向を眺めるのと、何も知らないで「たまたま」そこに行ったときの感動は、質が違う。

2019-10-21 あなたが笑うと…

昔、吉行理恵の詩集で「あなたが笑い始めると野薔薇の香がしてきます」というのを読んで、単純にきれいだなぁと思ってた。

「あなたが笑うと お空の雲がお城になったわ」という別の歌(「アンデルセン物語」のエンディング)を知り、もっといいな…と思うようになった。誰かと遊んでいて、とても楽しくて、全てが輝いて見えたんだね。

その歌はさらに「いつか知らないうちに あなたを忘れたの」と続く。夢のように楽しかった遊びの友達なのに、いつか知らないうちに忘れている。何という真理でしょう…。子どもにとって《遊び》は紡がれる世界で、紡ぎ手同士の交際ではないんだよね…

ここでいつも連想するのが「ふしぎをのせたアリエル号」(Amy’s Eyes)。

「あなたが いちども いったことのないところで…あなたと あったことがある」

この本は、装丁が素敵だった。当時ファンタジー的なものはわりとマイナーで、トールキンが大ブレイクするなんて誰も予想していなかっただろう。極端に言えば、当時の普通の人は「エルフ」という言葉も知らなかったかもしれない。何しろ中山星香の読者(どう考えても普通よりファンタジー寄り)が「指輪物語って何ですか?」とのんきな質問をして、中山星香は(さすがにカルチャーショックを受けつつも)真面目に説明していた。ファンタジーの世界が日常的になったのは、やっぱビデオゲーム的なものの影響だろう。ロジカルで冷たいイメージのある「コンピューター」の発達がファンタジーの追い風になった…ってのは、なんか面白い。

でも全部CGで見せられてしまうと、しらけてしまう。赤毛のアン風に言えば「想像の余地がない」。「リンゴ畑の~」や「妖精王の月」みたいなのが好きだった。「昔、おとめたちよ…」まあこれは好みの問題でしょう。


メールアドレス(画像): [ http://www.faireal.net/image/2005/addr.png ]