1 : 26 分数の割り算は、なぜひっくり返してかけるか

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恵まれない子に恵んじゃいけない理由

2000年12月8日

さて将来、バイトや仕事をしたお金で、旅行することがあるかもしれません。そのとき、旅先で、現地の子から、ボールペンをくれなどと、せがまれるかもしれません。ボールペンの一本や二本、我々にとっては、何でもないし、そのくらいで喜んでもらえるなら、こっちがうれしいくらいでしょう。貧者にほどこしをする王侯気分を味わって、いい気持ちになれるかもしれません。

わたしの考えでは、これは必ずしも良いことでは、ありません。あくまで状況が許せばですが、例えば、次のようにしてはどうかと考えたのですが、どう思われますか?

――突然だが、まず英語かなんかを教える。自分は英語のティーチャーだとウソをついて、「バイカル湖は海のように大きい」でも「チャイコフスキーは偉大な作曲家です」でもなんでもいいから、簡単な文章とその意味を教え、正確に発音できるようになるまで繰り返させる。発音が違ってたら、厳しく叱ろう。そのかわり、相手がついにうまく言えるようになったら、「たいへんすばらしい」とか言って、その努力に対するごほうびとして、ほしがっているボールペンをプレゼントしよう。もともとウソくさい芝居だけど、ただあげるよりは、いくぶんましでしょう……逆に相手の国の言葉を教えてもらうんでもいいかも。まぁいろいろ考えてみてください。

ストッキングをくれとかいうおとなには――あくまでのほほんとした余地があればですが――「ただじゃやれない、これは貴重な品物である。紅茶の葉っぱ(なんかその国では、ありふれてそなもの)と交換ならいい」とか「そのかわり、おくにの民謡を教えてほしい」とか、なんか要求しちゃおう。物乞いが悪いとは思わないけれど、あなたとしても、もっとべつのものをもらったほうがぶなんでしょう(タダであげてるつもりでも、実際には自尊心を奪ってる)。

たしかに我々には、つまらないボールペン。けど、相手の国では、ボールペンのインクが切れたら、ボールペンの芯の部分だけ交換して、大事に使っているのかも……。ボールペンの外側部分も含めてまるまる一本、すぐおろして使い捨てにするなんて、スンゴイことだと思ってるのかも(そっちの文化感覚のほうが正しかったりして……)まぁどんな理由であれ、相手が真剣にほしがっているものについて、「なに?こんなもんがほしいの!?もしかして、おめえの国には、ボールペンもねえのか?しょーがねーなぁ、んなもんくれてやるよ、おら」というおうへいな態度をとっちゃ悪いかも。

つーのは、じつは長い前ふりで、ひるがえってみるに日本のODA、もし仮にカネだけばらまいて「我が国は国際的に多大な貢献を……」と思ってるんだったら、イヤだね。そもそも「相手は物質的に貧乏だから」という理由でその相手をさげすんでるフシがあるとしたらイヤだよね。競争に価値があるとしたら、創造のエネルギーになるってことで、敗者をさげすむことが競争の目的じゃない……つーか、他人に勝ちたいからでなく自分自身が単にそれをやりたいからっていう理由で、クリエイティブなことができるといいのかも。でもそれだけじゃインセンティブ(やる気のもと)が不足かな?

ともあれ、よく知りもせずに相手の文化や社会のことを安易にあれこれ言うのは、良くないっす。インターネットを発達させた物質文明のインフラに感謝しつつも、物質的繁栄だけが唯一の価値じゃないってのも当たり前。貧しい人にほどこしするのが善行かっていうと、それもみだりにやればかえって相手を深く傷つけてるのかもね……。旅行すると、いろいろ考えれていいですよ。('-')/


分数の割り算は、なぜひっくり返してかけるか

2000年12月15日

脳天気な問題:りんごだってよ…

「りんごが6個あります。ひとり4分の1個ずつ配ると、何人に配れますか?」こたえ→りんごひと切れが1個の4分の1なので、1個のりんごは4切れになって、6個のりんごは、24切れ(6×4)。24人に配れる。

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「りんごが6個あります。ひとり4分の3個ずつ配ると、何人に配れますか?」こたえ→4分の3個ずつということは、要するに、4分の1個の大きさのりんごを、ひとり3切れずつ配ればいい。上に計算したように24切れあるので、3切れずつ分けると、24÷3=8 で8人前になる。

式としては、6を「4分の3」で割っている。「4分の3」で割るということは、実際には、まず4倍して、次に3で割ればいい。なぜって、6個のりんごを、4分の1サイズにばらせば、6×4=24 切れになる。ばらすということは、破片が増えるということだから、かけ算すればいい。次に、ばらしたのを、一皿に3切れずつ盛りつけると(そうすれば一人前が4分の3個になる)、24÷3=8 で8皿(8人ぶん)できる。こっちは24切れを3個ずつたばねるので、答は24の3分の1になる。

要するに、「4分の3」で割るということは、4倍して(りんごをばらす)3で割る(盛りつける)ということ。これで計算のしかたは終わり。ついでにいうと、3で割るということは「3分の1」をかけることなので、まとめると

かける4かける「3分の1」

ということで、要するに「3分の4」をかければいい。だから、決まり事としては「4分の3」で割るには、ひっくり返した「3分の4」をかければいいのだけれど、それは初めに説明した「4倍して3で割る」という意味を単に式の変形で言い換えただけ

例題:「りんごが10個あります。ひとり8分の5個ずつ配ると、何人に配れますか?」こたえ→上と同じで、まず8倍して次に5で割る。10×8÷5=16(人)。これは10を「8分の5」で割ったのだが、それは10に「5分の8」をかけても、計算上は一致する。

決して、分数で割るということの意味が「ひっくり返してかける」なのではなく、あくまで、計算として「ひっくり返してかければ、同じ答になる」ということ。分数で割ることの意味は、例えば6を「4分の3」で割る場合でいえば、6個のリンゴがあって、一皿にりんご4分の3個ずつ入れてくと何皿できるか?というようなこと。……でもいちいちそんなふうに具体的に考えるのも面倒なので、「a分のb」で割る→計算上は、ひっくり返した「b分のa」をかけること、と機械的に考えてもかまわない。

酸素がなくなる問題

あんたがひとりで宇宙服を着て月面車を運転してると、月の砂漠(何?)の真ん中で月面車が故障しました。残りの酸素は、あとボンベ8本と4分の1で、1時間につきボンベ5分の2ずつ酸素が必要です。あと何時間、生きられるか?

まぬけなこたえ→8と「4分の1」=「4分の33」。これを、「5分の2」で割ればいい。ひっくり返して「4分の33」×「2分の5」=「8分の165」

りこうなこたえ→んんなの、わざわざ分数なんか使うことねーだろ。8.25÷0.4=20.625時間。あと24時間もたねえぞ。早く修理しろ。

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